「納豆菌の力」をたまねぎに使ってみた!

納豆菌の力を施用することで、ワラなどの大きな有機物を最初に分解してくれる菌が増え、全体の微生物が増加し、作物を育てやすい土へ改善する効果があります。


今回はたまねぎ栽培で「納豆菌の力」を使用し、収量・品質にどのような効果が現れるかを検証してみました。

「納豆菌の力」をたまねぎに使ってみた!

たまねぎと納豆菌の力

たまねぎは苗を育苗し、本圃に移植する体系が一般的です。たまねぎは移植時に活着が悪いと生育不良や抽苔の原因となり収量減となることがあります。

納豆菌の力は土壌の微生物環境を整え作物を育てやすい土へ改善する効果があります。納豆菌の力はたまねぎと相性が良く、昨年から実証栽培を行っているISEKIスマートファームではたまねぎが大きくなるという効果が現れています。また、たまねぎの大産地である北海道では、納豆菌の力を使って栽培を行う生産者が増えてきています。

今回の試験では移植と同時に納豆菌の力を散布することで移植時の活着を助け、収量アップを目指して栽培試験を実施しました。

移植前に玉ねぎの苗の葉の上部を切り落としているところ
納豆菌の力のパッケージ画像

試験方法

散布方法 :移植機かん水

ヰセキのたまねぎ移植機にはかん水装置がついており、植付けと同時に水が株元に散布されます。今回の試験ではかん水装置の水タンクに納豆菌の力を混ぜ、苗の植付け時に散布を行いました。

散布液の調製

「納豆菌の力」の原液が10aあたりに500ml入るように水に希釈します。今回の試験では、500倍に希釈し1株あたり12mlで散布しました。

ISEKIのたまねぎ移植機のかん水装置に納豆菌の力を入れて、苗の植え付けと同時に納豆菌の力を試験圃場に散布

栽培開始! 移植・納豆菌散布

実証試験は神奈川県の協力農家様の圃場にて行いました。

詳しい機械作業の様子はこちらの記事(https://amoni.iseki.co.jp/article/1767/)を参照ください。

移植日:2020年12月9日

品種:ケル玉

4条植え(株間12㎝、条間20㎝)

うね体系と施肥量は以下の通りです。

試験圃場のうね体系を示したイメージ図
うね体系
NPK
元肥(12月9日)212118
追肥(3月14日)3.20.43.2
施肥量(kg/10a)

途中生育(4/13)

見た目に関しては大きな差は無いように見えます。生育調査を実施した結果、葉数が納豆菌区で若干増加していました。

納豆菌の力を施用していない試験区の生育状況を示した画像
無処理区
納豆菌の力を施用した試験区の生育状況を示した画像
納豆菌区
試験区草丈(cm)茎数(mm)葉数
無処理区42.413.786.6
納豆菌区40.813.867
各試験区5検体ずつ調査

収穫(6/17)

無処理区、納豆菌区とも病害虫被害等に遭わず、無事収穫を迎えることができました。収穫したたまねぎを持ち帰り収量の比較をしていきます。

ISEKIの玉ねぎ収穫機VHU20MRで玉ねぎを収穫
ISEKIの玉ねぎピッカーVHP101Tで玉ねぎをピッキングしているところ

収量調査 「納豆菌の力」区でサイズアップ!

3月の生育調査時には大きな違いは見られませんでしたが、収穫後の木になる結果は・・・

収量は納豆菌の力区で約6.2tとなり無処理区に比べて増収となりました。(17%増)

10a重量(kg)収量比(%)
無処理5359100
納豆菌6281.3117.2

たまねぎの出荷規格表と照らし合わせ、各サイズの個数を比較しました。

各試験区60個の玉ねぎをサンプリングし、玉ねぎのサイズをS~2Lに分類した際の各サイズの割合を比較したグラフ
サイズ割合
2LLMS
無処理0個 (0%)35個 (58%)19個 (32%)6個 (10%)
納豆菌5個 (8%)45個 (75%)10個 (17%)0個 (0%)
各試験区 60個ずつ調査

重量、横径ともに無処理区に比べて納豆菌区で大きい値となりました。それに伴い、納豆菌区で2L玉、L玉の個数も増加するという結果になりました。

試験区サイズ平均
重量 (g)横径 (cm)
無処理区233.08.1
納豆菌区273.18.6

今回の実証試験では納豆菌の力を使うことでたまねぎのサイズアップにつながりました!次はぜひ皆さんが体感してみませんか?

執筆者

井関農機(株)

井関農機(株)

農業機械の開発、製造、販売を行う農業機械総合専業メーカー。1926年創立以来、農業の機械化・近代化に貢献。魅力ある「農業=儲かる農業」の実現に向け「ハード(農業機械)」と「ソフト(営農技術)」の両面からお客さまの営農スタイルに合ったベストソリューションの提供に取り組んでいる。

執筆者

井関農機(株)

井関農機(株)

農業機械の開発、製造、販売を行う農業機械総合専業メーカー。1926年創立以来、農業の機械化・近代化に貢献。魅力ある「農業=儲かる農業」の実現に向け「ハード(農業機械)」と「ソフト(営農技術)」の両面からお客さまの営農スタイルに合ったベストソリューションの提供に取り組んでいる。