微生物資材「納豆菌の力」の効果!

納豆菌というと、まず思い浮かぶのは食べる「納豆」ではないでしょうか。
実は、その納豆菌の仲間には、土壌中の微生物環境を整え、作物を育てやすい土づくりをサポートする働きがあります。

今回は、そんな微生物を活用した資材「納豆菌の力」について、仕組みや使い方、ISEKIで行ってきた水稲・野菜での実証事例をご紹介します。

※本記事は2020年8月31日、2021年3月25日に井関農機㈱のHP(夢総研だより)に掲載された内容を転載・再編集しています。

微生物資材「納豆菌の力」の効果!

「納豆菌の力」って?

「納豆菌の力」とは、土壌微生物のバランスを短期間で整え、作物を育てやすい土へと改善する、微生物土壌活性材です。

良い土壌は化学性・物理性・生物性のバランスが重要です。土の中には多くの微生物が生息しています。農薬や化学肥料ばかりを連用すると、土壌微生物のバランスが崩れた土壌となります。

近年多発している異常気象などの環境変化に対応でき、品質の良い作物を育てるために、土壌微生物の改善が再認識されています。

生物性の改善には、有機物の投入を長期にわたり行う方法が一般的で効果が出るのに時間がかかりますが、「納豆菌の力」を使えば、短期間で土壌微生物のバランスを整えてくれます。

納豆菌の力を説明した画像

納豆菌は枯草菌と呼ばれる細菌の一種です。土壌中に生息する菌の中でも最初に有機物の分解に働く菌で、食物連鎖ピラミッドの一番下の位置にあたります。

「納豆菌の力」とは、そんな枯草菌を数種類ブレンドしたものです。納豆菌の力の施用によってワラなどの大きな有機物を分解してくれる菌が増え、全体の微生物が増加することで良質な土作りに貢献します。そうして有機物の分解が促進されると、作物に必要な栄養分が補給されます。

また、「納豆菌の力」に含まれている枯草菌は発根促進物質を供給するため、根はりが良くなる環境を作り出します。さらに、土壌微生物の種類や数の増加によって拮抗作用が働き、病原菌が働きにくい環境に変化させてくれるのです。

納豆菌の力が土壌の微生物を増加させる仕組み

どうやって使うの?

「納豆菌の力」には1mlに、10億個もの菌が含まれていて、作物や栽培体系に合わせてさまざまな方法で使用できます。

●水稲(1haに500ml)

  • 苗散布:移植1週間前~当日に、1ha分の使用する苗に希釈して散布(かん水する水に混ぜてください)
  • 田植え同時散布:滴下マン(液剤散布機)で10倍希釈液を500ml/10aで散布

●野菜(10aに500ml)

  • 苗散布:移植1週間前~当日に、10a分の苗に希釈して散布
  • 土壌散布:播種後や移植後に土壌散布
  • 移植機散布:移植機のかん水装置で散布
納豆菌の力を苗に散布
納豆菌の力を土壌に散布
※除草剤等との混用も可能です
納豆菌の力を移植機で散布
納豆菌の力を田植機で散布

ISEKIスマートファームで使ってみました

ISEKIでは、「納豆菌の力」を水稲やさまざまな野菜で実際に使用し、生育や収量への影響を確認してきました。
ここでは代表的な事例をご紹介します。

事例1:田植え同時散布による水稲栽培

「ヰセキの田植機と液剤散布装置の「滴下マン」を使用し、田植えと同時に「納豆菌の力」を散布しました。
移植約1か月後に調査したところ、納豆菌処理区では根張りや分げつの増加傾向が確認されました。

田植え同時散布による水稲栽培での納豆菌の力の効果の説明

水稲では、田植え同時散布以外にも、密播苗への散布など異なる方法で実証を行っています。
密播苗への散布方法や、移植後の生育・収量を詳しく紹介しています。

⇒「納豆菌の力」を水稲密播で使ってみた!

事例2:移植機のかん水装置によるタマネギ栽培

ヰセキの野菜移植機のかん水装置を利用して、植付けと同時に「納豆菌の力」を散布しました。

実証では、無処理区と比較し、球の肥大や収量などに違いが見られました。

移植機のかん水装置によるタマネギ栽培での納豆菌の力の効果の説明

その後、たまねぎについては使用方法や収量・サイズをさらに詳しく確認しています。

⇒「納豆菌の力」をたまねぎに使ってみた

移植同時散布の方法から、収穫時のサイズ比較まで紹介しています。

「納豆菌の力」をいろいろな作物に使用しました

「納豆菌の力」は、水稲やたまねぎ以外にも、スイートコーン、エダマメ、キク、ネギ、コマツナ、ジャガイモ、カンショなど、さまざまな作物で使用しています。

水稲、スイートコーン、エダマメ、キクでの納豆菌の力による根張り向上効果の紹介
ネギ、小松菜、じゃがいもでの納豆菌の力による生育促進効果、及びさつまいもでのサイズアップ効果の紹介

作物によって、苗への散布、移植同時かん水、葉面散布、種イモへの処理など、使用方法もさまざまです。

作物処理方法希釈倍率希釈液の使用量
水稲苗に散布100倍1L/枚
スイートコーン苗に散布100倍1L/枚
エダマメ移植同時かん水200倍12ml/株
キク移植同時かん水250倍10ml/株
ネギ苗に散布100倍1L/枚
コマツナ葉面散布200倍2ml/株
ジャガイモドブ浸け200倍種イモが浸かる量
カンショ移植同時かん水150倍12ml/株
使用方法の一例

使い方は主に3パターン

① 苗に散布する

移植1週間前~前日の苗に、「納豆菌の力」をかん水する方法です。「納豆菌の力」500ml が、野菜では10a、水稲では1ha 分の苗にいきわたるように希釈し、1L/ 箱程度でかん水します。水稲やネギなど、育苗する作物で取り入れやすい方法です。

水稲の例:苗箱を20 枚/10a 使う場合
20L の水に50ml の「納豆菌の力」を投入し、1L/ 箱程度でかん水します。

野菜の例:苗箱を30 枚/10a 使う場合
30L の水に500ml の「納豆菌の力」を投入し、1L/ 箱程度でかん水します。

② 移植と同時にかん水する
野菜移植機のかん水装置を使用し、移植と同時に「納豆菌の力」をかん水する方法です。「納豆菌の力」500mlが、10aの圃場にかん水されるように希釈します。別作業で散布する必要がないため、移植作業と同時に処理できるのが特徴です。

正確な希釈倍率を知りたい場合は、下記の式で求めることができます。
希釈倍率=かん水量(ml/株)× 植付本数(株/10a)÷500

例:かん水量 10ml/株、植付本数 10000株/10a、20L かん水タンクの場合

20L かん水タンクに100ml の「納豆菌の力」を投入しかん水します
(200倍に希釈してかん水することになります)。

③ 土壌・葉面へ散布する
播種前後や生育途中に、10a に散布する水に500mlの「納豆菌の力」を希釈して散布する方法です。除草剤等と混用可能なので、初期除草剤と一緒に散布できます。

「納豆菌の力」を実際に使った事例をもっと見る

ISEKIではその後も、水稲や野菜などさまざまな作物で「納豆菌の力」の使用事例を紹介しています。気になる作物や使い方から、実際の事例をご覧ください。

①水稲の育苗で使ってみる

密播苗に「納豆菌の力」を散布し、移植後の生育や収量を確認しました。

②水稲収穫後の圃場で使ってみる

収穫後のワラに散布してすき込み、翌年の水稲生育や収量への影響を確認しました。

③長ねぎで使ってみる

長ねぎ栽培で実際に使用した圃場事例をご紹介しています。

④かんしょで使ってみる

かんしょ栽培での使用方法や、実際の生育・収量を紹介しています。

⑤ほかの作物でも実証しています

「納豆菌の力」は、作物によってさまざまな使い方ができます。
ジャガイモや大根などについても、Amoniで個別の実証事例をご紹介しています。

「自分が栽培している作物ではどう使えるのか?」と気になった方は、ぜひ各実証記事も参考にしてみてください。

執筆者

井関農機(株)

井関農機(株)

農業機械の開発、製造、販売を行う農業機械総合専業メーカー。1926年創立以来、農業の機械化・近代化に貢献。魅力ある「農業=儲かる農業」の実現に向け「ハード(農業機械)」と「ソフト(営農技術)」の両面からお客さまの営農スタイルに合ったベストソリューションの提供に取り組んでいる。

執筆者

井関農機(株)

井関農機(株)

農業機械の開発、製造、販売を行う農業機械総合専業メーカー。1926年創立以来、農業の機械化・近代化に貢献。魅力ある「農業=儲かる農業」の実現に向け「ハード(農業機械)」と「ソフト(営農技術)」の両面からお客さまの営農スタイルに合ったベストソリューションの提供に取り組んでいる。