
狭幅トラクタで白ネギ機械化一貫体系やってみた

ISEKIで新しく登場した大規模向け白ネギ機械を使い、機械化一貫体系での栽培をやってみました。条間130~150㎝の広幅条間にできる圃場にオススメの機械をご紹介します。
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井関農機(株)
化学成分肥料削減につながるとして最近注目されている汚泥発酵肥料を使い、玉ねぎを栽培してみました。
R2年国内の野菜生産量(11,440千トン)のうち、玉ねぎが12%(1,357千トン)を占めており、玉ねぎは国内の野菜生産では存在感のある作目です。とりわけ玉ねぎは野菜の中でも機械化や水田転作が進んでおり、他の作物に比べ低コスト、省力化、大規模化への取組が盛んにおこなわれています。
国はみどり戦略を策定し化学肥料の低減などの目標を掲げ、玉ねぎなど土地利用型の作物においてはさらなる効率的な栽培が求められています。
玉ねぎを取り巻く最近の背景をふまえ、化学成分肥料削減につながるとして最近注目されているジャンルである「汚泥発酵肥料」を使い、玉ねぎへの影響を調べる検証を行いました。
栽培は昨年2022年にスタートさせました。品種は早生の濱の宝です。濱の宝は普通西日本の暖地で栽培されることが多いかと思います。つくばみらい市では5月のGW前後から田植が始まるため、田植の前に収穫は終えておきたいという目論見もあり、早生品種での栽培を選択しました。
定植には移植機PVHRを使用しました。
作業者は移植機に腰掛け、ターンテーブルのカップに苗を入れていくことでホッパが植えていきます。ホッパ部に潅水装置がついており、植付同時に苗に潅水がされ活着を助けます。また、セルトレイ育苗では根鉢がおもりになり植えていくため、移植前の調製としては葉先の長さ調製にとどまります。
使用機械
・PVHR4-145SG(ヰセキ)
話は前後するのですが、施肥はヤマガタデザインアグリ株式会社で取り扱っている「汚泥活性肥料ウルトラエックス」を使用します。
ウルトラエックスは飲料工場の原料残渣を含む汚泥発酵肥料です。
特徴として、ほとんど無臭、重金属の含有基準値を下回っており、安全性の高いものです。また、ペレット状になっており作業機などで播きやすい形となっています。有機JASでは使用はできませんが、化成窒素成分は含んでいないため環境への負荷低減を考慮した資材です。
今回の栽培では化成肥料区とウルトラエックス区を設け生育への影響を調べます。
ウルトラエックスはNPK=441のため、カリについては化成カリ肥料で不足分を補いました。
べと病、アザミウマ類に対して防除を行います。気温が低下すると病害虫の発生割合も少なくなりますが予防ということで定植後すぐのこのタイミングで行いました。
使用機械
・JKB17(ヰセキ)
年内の様子です。定植時よりやや丈がのびています。年内最後ということもあり、ここまでの栽培でいくつか反省点があり振り返ることにしました。
春先前の防除を行いました。
使用機械
・JKB17(ヰセキ)
地上部が大分生育してきました。一部露地うねを作っており、追肥作業を行いました。
株元の肩幅も広がり、玉ねぎらしくなってきました。
茎葉が倒れ始めたため収穫を行いました。3月頭までは大きな雑草が見えなかったため特に雑草防除を行わなかったことが迂闊でした。マルチ栽培ということもあり雑草への考えが甘い部分がありました。幸い天気は持っているので収穫していきます。
使用機械
・VHU20(ヰセキ)
収穫した玉ねぎの収量を比較します。収量は化成区で4636㎏/10a、ウルトラエックス区で4271㎏/10aとなりました。30株玉ねぎの重量を計測し分散分析したところ、2区間に有意差は見られないという結果になりました。
単年の栽培結果なので一概には言えませんが、今回の検証でウルトラエックスは化成区と同等の収量を得ることができました。
化成 | ウルトラエックス | |
---|---|---|
kg/10a | 4,636 | 4,271 |
近年の環境保全意識の高まりや、肥料価格高騰という背景があり、世界的には徐々に脱化成肥料に舵を切り始めています。国内では人手不足が大きな問題となっており効率的な営農も求められています。
今回の検証では化成肥料の使用を抑えつつ収量維持につなげることができました。汚泥肥料だけでなくそれに付随する技術、栽培法、資材を見つけていければと感じました。