“有機向け”だと思っていたけど違った。慣行栽培で使って分かったアイガモロボ2
アイガモロボ2は有機栽培向け――そう思われがちですが、実は慣行栽培の現場でも使われています。
雑草対策の自動化だけでなく、初期生育の安定、水管理のしやすさ、作業負担の軽減。
今回は、慣行栽培農家の実際の栽培スケジュールをもとに、導入から収量、効果実感までを時系列で紹介します。
- アイガモロボ
- 水稲
- スマート農業
ISEKIグループ
有機水稲栽培のハードル「雑草対策」も「アイガモロボ」を活用すれば乗り越えられる!
当社での実証結果をもとに、有機水稲の栽培ポイントをご紹介します。
「育苗」「ほ場準備」「土づくり」「雑草対策」「栽培管理」について連載形式で詳しくご紹介していきます。
連載初回は「育苗編」です!
有機水稲栽培では、雑草対策の観点から移植後の水管理を深水にするという考えがあります。
また、自動抑草ロボット「アイガモロボ」を稼働させるためにも、5~10cmの水位が必要になります。
深水環境でも水没しない丈の、丈夫な苗(中苗~成苗)に仕立てましょう。※関東以南では稚苗でも良好に生育する事例もあります。
密播苗はアイガモロボの稼働によりダメージを受けやすいため、避けるようにしましょう。


有機水稲の育苗の手順は、基本的に慣行苗と同様です。
一方で、有機栽培では使用する資材に気を付ける必要があります。
栽培期間を通じて、「化学的に合成された成分を含まず、自然由来の成分だけでできている」資材を使用します。つまり、化学肥料・農薬は使用できず、「有機JAS」という有機農産物の規格に適合した資材を使用する必要があります。
参考:農林水産省ウェブサイト(有機農産物のJASに関する資材情報:農林水産省)
有機JAS登録認証機関が作成している有機JASで使用可能な資材リスト(農林水産省ウェブサイト)に掲載されている資材は有機栽培で使用することができます。
リストに記載されていない資材は生産メーカーに問合せ、有機JASに適合している場合は「資材証明書」という書類を発行してもらうことで、使用することができます。
ここからは、育苗の各工程のポイントをご紹介します。
芒・枝梗が多いと、播種制度の低下につながるため、除去します。
比重1.13の塩水(目安:水10Lに食塩2kg)に種籾を入れ、静かにかき混ぜます。
浮き上がってくる種子を除き、沈んだ種子を播種に使用します。
有機栽培で使用可能な塩(塩化ナトリウム)は、「海水または湖水から化学的方法によらず生産されたものまたは採掘されたものであること」と定められています。(有機農産物の日本農林規格より)
つまり、市販されている食用塩であれば、使用可能です!
温湯消毒もしくは薬剤消毒を行い、病害虫対策をします。
▷温湯消毒
60℃のお湯に10分浸した後、直ちに冷水で冷やす方法です。



▷薬剤消毒
薬剤を使った消毒方法です。ただし、有機栽培の場合は有機JAS規格に適合した資材しか使用できません。
<薬剤の例>
タフブロック・・・タラロマイセス・フラバス菌を配合した微生物殺菌剤

温湯消毒は適切に実施すれば高い防除効果が得られますが、ばか苗病に対する防除効果が不十分であるなどの課題があります。
温湯消毒をした後に生物殺菌剤を処理することで、より安定的にばか苗病をはじめとする種子伝染病を防ぐことができます。
育苗時の病害発生を防ぐため、一度使用した苗箱は洗浄してから使用しましょう。
前作が有機栽培でない場合は、化学肥料・農薬の混入を防ぐため、特に念入りに洗浄しましょう。
有機栽培では育苗中の防除が限られます。病害リスク低減のため、育苗箱を消毒することをお勧めします。
※消毒剤を使用する際は、有機JAS登録認証機関へ使用可能かどうかご確認の上、ご使用ください。

育苗用培土は有機JASに適合した専用の培土が必要となります。
ヰセキでは、有機JASに適合した培土をご用意しております。
※有機栽培用の培土は基本的に受注生産となっております。また地域ごとに取扱いが異なりますので、事前にお近くのヰセキ販売店へお問い合わせください。
有機培土は成分の違いから通常の培土に比べてカビが発生しやすい性質があります。床土・覆土の両方を肥料入り培土にすると、発芽時にカビが発生する場合があります。
対策として、覆土には無肥料培土(有機用)を使うのがオススメです。


~無肥料培土を選ぶ際の注意点~
無肥料培土でもpH調整剤等の添加があり有機栽培で使用できないものがございます。使用の際はメーカにご確認下さい。
1箱あたり1Lを目安にかん水を行います。
※有機培土は通常培土に比べて水の浸透性が弱い場合があります。2L以上かん水する場合などで水が引かない場合はかん水量を抑えて下さい。

播種後は、発芽器or平置きにて出芽管理を行います。
有機水稲苗は発芽中に一時的にカビが発生することがありますが、通常苗だし後に消えることがほとんどのため、育苗に問題はありません。



出芽したばかりの苗は、環境に慣れていない状態なので、光や環境に徐々に慣らしていきます。
芽が均一に出そろい、緑に色づいてきたら被覆資材をはぎましょう。

温度・かん水管理に気を付け、目標とする苗姿になるよう管理を行います。苗の葉色を確認し、薄くなってきたと感じたら追肥をしましょう。

液肥 鰹ソリューブル8000
<特徴>
〇鰹・鮪エキスに含まれる核酸(イノシン酸など)とアミノ酸の相乗効果により、作物の生育を促進します。
〇有機JAS適合資材です。
<使用時期>
3~4週目で下位葉の葉色を見て判断
<希釈倍率>
1000倍(1L/箱でかん水)
※プール育苗で使用する場合は一度水位を下げ、培土に肥料が吸着するよう散布すると効果が安定します。
病害予防や水管理の省力化にはプール育苗が適しています。
ビニールシート等で簡易的なプールをつくり、そこへ育苗箱を並べて湛水状態で育苗を行います。

〇水入れのタイミングは、1~1.5葉になった頃(全体が緑になった頃)
〇苗箱高さまで湛水すると、カビ・細菌による病害・ムレ苗の発生抑制効果も期待できます。
~プール育苗のメリット~
〇かん水管理を大幅に省力できる
〇マット形成が良い
〇苗の揃いが良い
〇病害リスクの低減(※病害が発生した場合は、蔓延するリスクがあります。)
苗が完成した様子です。


「苗半作」の言葉の通り、特に有機栽培では苗の状態が移植後の生育を左右します。上記のポイントを抑えて、良い苗を目指しましょう!