実証
2021.12.10
「納豆菌の力」を水稲密播で使ってみた
水稲の密播栽培で、微生物資材の「納豆菌の力」を使用してみました。果たしてその収量は…!?
- 概要テーマ登録日2021.12.01「納豆菌の力」を水稲の密播栽培で使ってみた
- レポート1最終更新日2021.04.20「納豆菌の力」って何?/試験方法
- レポート2最終更新日2021.04.24試験スタート!! 密播苗の播種
- レポート3最終更新日2021.05.06「納豆菌の力」を苗に処理したよ♪
- レポート4最終更新日2021.05.11大事に育てた苗たちを移植!
- レポート5最終更新日2021.05.12水入れ後の様子
- レポート6最終更新日2021.06.01初期生育を比べてみた
- レポート7最終更新日2021.07.20これぞ納豆菌パワー!?
- レポート8最終更新日2021.09.10いざ収穫
- レポート9最終更新日2021.12.01結果発表~!!
テーマ登録日2021.12.01
「納豆菌の力」を水稲の密播栽培で使ってみた
こんにちは、夢総研です!
今回は、水稲の密播栽培とベストマッチな資材「納豆菌の力」の実証事例をご紹介していきます~!!
皆さんは『密播』ってご存知ですか??
『密播』とは、1箱の播種量を増やし、苗を少量でかき取る技術。
地温が低いなど疎植に不向きな条件でも(もちろん疎植と組み合わせても)、反あたりの使用苗箱数を減らすことができる低コスト栽培技術です!!
しかしながら、こんな弱点も・・・
密播では、密植により1本1本の苗が細くなるため、植え付け後の不良環境に弱く、スムーズに活着させることが課題です。
こんな時こそ、作物の生育お助けマン「納豆菌の力」の出番だ!!
ということで、密植苗の移植後の活着向上を狙って、「納豆菌の力」を密播に組み合わせて使用してみました。
最終更新日2021.04.20
「納豆菌の力」って何?/試験方法
「納豆菌の力」は、納豆菌の仲間【枯草菌】を10種類ブレンドした微生物土壌活性剤です。
土壌微生物のバランスを短期間で圧倒的に整え、作物が生育しやすい土壌へと改善する働きがあります。
ISEKIスマートファームでは、水稲やたまねぎ、じゃがいも、だいこん等様々な作物で実証試験を行っており、収量の増加や品質の向上といった結果が得られています。
そんな作物の生育お助けマンの「納豆菌の力」は、使い方もカンタン!!
使用推奨量は水稲:50ml/10a、野菜:500ml/10aで、処理方法も播種前後の土壌散布や育苗時のかん水同時処理、移植時のかん水装置での散布等、栽培作物や栽培体系に合わせて選ぶことができます。
今回の実証試験では、移植5日前にかん水と同時に「納豆菌の力」を密播苗に処理し、水稲を栽培しました。
処理条件は以下の通り。
・処理日:2021/05/06
・使用量:160倍希釈液・1L/箱 (苗箱8枚/10a使用時、原液50ml/10a相当)
・移植日:2021/05/11
・栽培場所:茨城県ISEKIスマートファーム圃場
最終更新日2021.04.24
試験スタート!! 密播苗の播種
4月24日に、以下の条件で播種を行いました。
・品種:コシヒカリ
・播種量:乾籾220g/箱
・培土:ヰセキ培土ライト(軽量培土)
慣行苗(乾籾130g/箱)と比べると、1箱あたり90g多く播種したことになります!
ちなみに、この密播苗の220gという播種量がどうやって決まっているかというと・・・
・乾籾220~250g→種籾どうしが重ならないように播種できるギリギリのライン
・乾籾250g以上→種籾どうしが重なり、生育ムラになりやすい
という意味があるのです!!
最終更新日2021.05.06
「納豆菌の力」を苗に処理したよ♪
移植5日前(播種後12日)に、かん水と同時に「納豆菌の力」を密播苗に処理しました。
反あたりの使用苗箱数が8枚程度になると想定して、希釈倍率は160倍*にしました。
育苗期に1回処理しただけで、果たして水田での生育や収量に影響が出るのか、期待半分、不安半分です・・・
最終更新日2021.05.11
大事に育てた苗たちを移植!
播種から17日後の5月11日に、田植えを行いました。
移植当日の苗の様子は右の写真のような感じでした。
草丈は16cmほどで、1本1本の茎の太さはやはり少し細めの印象。
この段階では、無処理の苗と「納豆菌の力」を処理した苗の間に、目立った生育の差は見られませんでした。
今回は疎植栽培と組み合わせて『密播疎植』で田植えを行ったので、以下の条件で田植機を設定した結果、43aの圃場で使用した苗箱数はたった29枚(6.7枚/10a)でした!
(縦かき取り量を想定していた10mmから9mmに狭められたため、反あたりの使用苗箱数も予定していた8枚程度からさらに減って、6.7枚となりました。)
・株数切替レバー→植付株数37
・苗取量調節レバー→縦かき取り量9mm
・横送りレバー→横送り回数28回
*ちなみに、慣行苗60株植えで同様の面積田植えした場合必要となる苗箱数は約71枚(16.5枚/10a)なので、今回密播疎植で田植えしたことで、42枚(9.8枚/10a)も苗箱を削減できたことになります!!
最終更新日2021.05.12
水入れ後の様子
田植え翌日、水入れ後の稲の様子を見に行きました。
昨日までの苗箱の段階では、苗が密集しているため1本1本の細さがあまり気になりませんでしたが、1株ずつ植付けられると風にひょろひょろと揺られて少し頼りない見た目に・・・
「納豆菌の力」パワーで無事に生育していきますように~~
最終更新日2021.06.01
初期生育を比べてみた
移植後3週間が経過したタイミングで、無処理区と「納豆菌の力」処理区(以後、納豆菌処理区と表記)の初期生育を比較してみました。
圃場での活着の様子を見比べてみると、納豆菌処理区の方が茎数が多くて株がしっかりしているように見えます。
実際にそれぞれの区で移植後からどれだけ分げつが増加したかを数えてみると、無処理区では3.1本だったのに対し、納豆菌処理区では5.8本と倍近くの本数分げつが増加していることがわかりました!!(*1試験区5株2か所のデータ)
最終更新日2021.07.20
これぞ納豆菌パワー!?
中干しを経て分げつの増加も落ち着き、幼穂形成が始まりました!
ここまでの分げつ増加本数の推移を試験区ごとにグラフにまとめてみました。(*1試験区5株2か所のデータ)
納豆菌処理区で初期の分げつ増加が盛んになっているのがわかりますね!!
生育お助けマン「納豆菌の力」のおかげで初期活着がスムーズに進んだ成果でしょうか!?
ちなみに、草丈や葉色のデータも取っていましたが、無処理区と納豆菌処理区の間で大きな差は見られませんでした。
最終更新日2021.09.10
いざ収穫
9月7日にコンバインで収穫を行いました!
移植直後はひょろひょろの見た目だった稲がこんなに立派に育つなんて・・・!感慨深いです。
「納豆菌の力」の効果を調べるために収量調査を行うべく、コンバインでの刈取りの1日前に、坪刈りも行いました。
収穫後の乾燥調整作業がひと段落したら、分析を進めていきたいと思います!
最終更新日2021.12.01
結果発表~!!
穂数を数えて、脱穀して、粒数カウンターにかけて、・・・と地道な作業を繰り返して、やっとのことで収量調査を終えました!
その結果はこちら↓↓ (*1試験区3か所から坪刈りしたデータをもとに10a換算)
納豆菌処理区では、無処理区よりも精玄米収量が反あたり23㎏(4.4%)アップしていました!!
その要因を見てみると・・・㎡あたりの穂数に大きな違いが!
無処理区では392.2本なのに対し、納豆菌処理区では399.2本と7本も多くなっていました。
「納豆菌の力」を苗に処理したことによって、活着がスムーズに進んで初期の分げつ増加が盛んになり、この結果穂数も多くなって収量も増加したと考えられます!
結果をまとめると、密播で収量を確保するには、スムーズな活着を助ける「納豆菌の力」がおすすめ!!
特に、寒冷地など、移植後の環境が厳しく密播苗の活着が懸念される地域には、ベストマッチな資材です。
ぜひ、お客様の圃場でも体感してみてくださいね♪