実証
2023.06.03
アイガモ日和(有機米デザイン+ISEKI)
- 概要テーマ登録日2022.05.09アイガモ(抑草)ロボのテストを全国で実施しています!
- レポート1最終更新日2022.05.23@鹿児島 種子島地域 (アイガモロボ投入~試験終了までをレポート)
- レポート2最終更新日2022.05.10@千葉県木更津市 (ロボット投入)
- レポート3最終更新日2023.01.06@奈良県宇陀市(ロボット投入~実証テスト完了)
- レポート4最終更新日2022.09.12@茨城県つくばみらい市(圃場準備~実証結果まとめ 実証テスト完了)
- レポート5最終更新日2022.12.07@群馬県川場村(アイガモロボ投入~実証結果まとめ 実証テスト完了)
- レポート6最終更新日2023.03.01@新潟県新潟市(アイガモロボ投入~実証結果まとめ 実証テスト完了)
- レポート7最終更新日2022.12.09@兵庫県丹波地区(アイガモロボ投入~実証結果まとめ 実証テスト完了)
- レポート8最終更新日2023.01.31@秋田県にかほ市(圃場準備~引き上げ~実証テスト完了)
- レポート9最終更新日2022.10.20@茨城県坂東市(アイガモロボ投入~実証結果まとめ 実証テスト完了)
テーマ登録日2022.05.09
アイガモ(抑草)ロボのテストを全国で実施しています!
有機米デザインと井関農機は業務提携を結び、現在開発中の自動抑草ロボット、通称「アイガモロボ」の早期販売、普及に向けて取り組んでいます。
今年は全国でアイガモ(抑草)ロボの実証を行っており、その様子を現場よりレポートしていきたいと思います。
☆アイガモロボとは……
アイガモロボは水田内を自動で動き、スクリューで水を濁らせることで光を遮り雑草の成長を抑えます。
除草剤を使わずに雑草が生えにくい状態をつくることで、有機栽培における除草の手間の削減を目指します。
最終更新日2022.05.23
@鹿児島 種子島地域 (アイガモロボ投入~試験終了までをレポート)
概要:『★日本一早い新米★』の出荷に向け、3月から田植えが始まる種子島。
このレポートでは、そんな種子島の2箇所での早期米栽培におけるアイガモロボ実証の様子をレポートしていきます!
レポート1 【南種子町・A氏圃場】
品種:コシヒカリ(60株植え)
例年の栽培方法:特別栽培米
移植日:3/13
水位設定:5cm~
圃場の特徴:球根性の雑草「コウキヤガラ」に悩まされている。
●投入当日(3/15)
田植え3日後にアイガモロボを投入。
この時点で、問題の雑草「コウキヤガラ」の球根が圃場内でちらほら芽を出しているのを発見!!
アイガモロボの投入効果(光合成阻害やトロトロ層)だけでどこまで抑えられるのか、要観察です。
●田植え後10日(3/23)→*試験圃場変更
やはり問題の球根性雑草「コウキヤガラ」が発生してしまい、除草剤を使用せざるを得ないため、試験圃場を変更し、同日(3/13)に田植えした隣接圃場にアイガモロボを移しました。
コウキヤガラ以外の雑草はしっかり抑草できていたので残念ですが、
多年生雑草・球根性雑草が多発する圃場では、アイガモロボだけでは雑草を防ぎきれない可能性がある、
ということが分かったのは、今回の実証試験の一つの収穫です。
●田植え後31日(4/13) 草丈:32㎝程度→ロボ引き上げ
変更後の試験圃場で草丈が30㎝を超えてきたので、アイガモロボを引き上げました!
この変更後の圃場では、アイガモロボの稼働が田植え後10日からとなってしまったため、ホタルイ、アゼナ、一部コウキヤガラの計3種類の雑草が発生してしまいました。
一方で、「除草剤を使用した他圃場と比較すると、イネの葉色が良く、成長も早くてびっくりしている!!」とA氏。
相談した結果、このまま様子を見守りつつ、雑草の勢いが収まらないようであれば除草剤を使用することになりました。
●田植え後約2か月(5/3)→除草機使用
ホタルイの勢いが収まらないため、水田除草機『WEEDMAN』で除草を行うことになりました。
(当初は、雑草の勢いが収まらなければ除草剤を使用する予定でしたが、このまま除草剤を使用せずに栽培してみたい!というA氏の強い思いのもと、除草機の使用に変更。)
作業後には、WEEDMANによって引き抜かれたホタルイたちが田んぼの水面上を浮いていました。
*多年性雑草・球根性雑草が多発する圃場では、アイガモロボだけでは雑草を防ぎきれない可能性がある。
*ロボ投入は代かき・田植え後できる限り日数を空けずに行うべし!!
(代かき後日数が経つと、地表面が固まってきてロボで濁りができにくくなってしまうため。)
という反省点を持ち帰り、5月以降の田植え地域での実証試験に生かしたいと思います。
A氏と南種子の皆様、本当にありがとうございました!!
レポート2 【南種子町・B氏圃場】
品種:コシヒカリ(60株植え)
例年の栽培方法:慣行栽培
移植日:3/28
水位設定:4cm~
圃場の特徴:とにかく風が強い!!!
●投入当日(3/29)
田植えの翌日にアイガモロボを投入。
播種後に気温の低い日が続いたため、田植え日までに苗丈がなかなか伸びなかったとのこと。
苗丈が短いため、水は水位3~4cmまでしか入れられませんでしたが、アイガモロボはなんとか運行していました。
●田植え後16日(4/14) 草丈:25cm程度
目立ったサイズの雑草は生えていなくて一安心♪
この調子で後10日間くらいしっかり抑草してくれますように~!!
●田植え後29日(4/26) 草丈:33cm程度→ロボ引き上げ
この1週間で草丈が一気に伸び、30cmを超えてきたのでアイガモロボのお役目は終了!!
圃場全体的には、アイガモロボの抑草効果が発揮されて、目立ったサイズの雑草はほとんど生えていませんでした^^
一部、圃場内の高くなっているところにホタルイが見られましたが、このままの勢いで稲が大きくなっていけば問題ないレベルだと思われます!
また幼穂形成期に調査を行い、最終的に収量に影響ない範囲に雑草が抑えられていたか確認する予定です。
●田植え後2ヵ月半(6/15)→雑草調査
幼穂形成期を逃してしまい、もう立派な穂がしっかりと出てきていましたが、雑草調査を行いました。
稲の生育は順調、圃場全体的にはロボ引き上げ時に引き続き雑草が抑えられている印象でしたが、一部、スポット的にヒエが発生している箇所がありました。
ヒエが発生してしまった要因やその対策として、B氏と以下のように考察してみました。
・やはり、圃場内で高くなっている箇所にヒエが発生している。
→代かき時にもう少し均平にできていたら、アイガモロボがよりくまなく圃場内を航行できて、ヒエの発生を抑えられたかも。
ロボ引き上げ後に一旦浅水に戻してしまったことで、ヒエが生えやすい環境になってしまった。除草剤を使用しないなら、ある程度継続した深水管理が必要。
・早期米の場合、田植え1ヵ月後(=ロボ引き上げ後)くらいから一気に気温が上がって雑草が生えやすくなる。
→ロボ引き上げタイミングくらいに1回機械除草も組み合わせたら、より雑草の発生量を抑えることができそう。
●収穫(7/25)
いよいよ収穫です!ISEKIコンバインが出動!!
7月に黄金色の稲穂が見られるのは早期米ならではですが、猛暑の中の刈取り作業は過酷…
一部スポット的にヒエが発生して心配しましたが、刈取り部に雑草が詰まったりすることなく、無事に収穫することができました。
乾燥調整後の出荷米量は529㎏/10a(⇔昨年:550㎏/10a)と昨年には少し及びませんでしたが、
B氏からは「(今年は、)地域全体的に減収傾向だったけど、その割にはよかった!」というコメントをいただくことができました。
ちなみに・・・
収穫したお米は後日、イオンモール鹿児島で開催された「サステナウィーク」というイベントのかごしま有機生産組合のブースで、『アイガモロボ米』として販売しました!
最終更新日2022.05.10
@千葉県木更津市 (ロボット投入)
概要:有機米の産地化に取組み、学校給食へ安定供給することを目標に、様々な取り組みを行っている千葉県木更津市。
このレポートでは、木更津市の有機米生産圃場で行っているアイガモロボ実証の様子をご紹介いたします。
●有機米ポイント研修会での事前説明(3月15日)
木更津市では栽培技術の向上を目的として、有機米生産者に向けたポイント研修会を、年に数回開催しています。
播種前のポイント研修会で、有機米生産者の方々にアイガモロボをご紹介しました。
生産者の方からは、「どのような雑草に効果があるのか?」や操作方法など、多くのご質問をいただきました。
アイガモロボに対する期待の高さを感じます。
レポート1 【木更津市・中郷地区】
品種:コシヒカリ
移植日:5月4日
水位設定:平均5㎝ 畔際周辺の浅い所で3㎝
圃場の特徴:①面積4反の合筆圃場 ②「コナギ」に悩まされている。
●投入当日(5月6日)
田植後2日目にアイガモロボ投入。
合筆圃場のため、圃場の高低差が無いか気になるところでしたが、
丁寧に代かきを行って頂いたため、アイガモロボも順調に動き始めました。
ただ浮かんでいるだけかと思いきや、力強く動くアイガモロボット。期待以上の動きを見せました。
抑草のポイントとなるのが、濁りによる光の阻害と、圃場内での「トロトロ層」の形成です。
木更津市では、従来からトロトロ層を形成しやすい丁寧な代かきを指導してきました。
アイガモロボの投入で、更に「トロトロ層」が形成される事を期待します。
最終更新日2023.01.06
@奈良県宇陀市(ロボット投入~実証テスト完了)
概要:奈良県宇陀市にて奈良みらいデザイン様圃場でアイガモロボの実証を行いました。
アイガモロボ実証の様子についてレポートしていきます。
品種:吟のさと
移植日:5/11
圃場の特徴:昨年まで慣行栽培の圃場
①アイガモロボ投入(5/9)
まず代かき後に1度投入を行いました。
代かき~田植までの日数が空く場合、代かきで出来た濁りが無くならないよう、
田植の前に一度投入を行います。
圃場に投入後、スマホから圃場の設定を行います。
水位も十分確保できており、スイスイ泳いでいました♪
②田植後の投入・近隣の生産者様向けイベントの実施(5/13・14)
田植後に十分水位が確保できたところで5/13に再投入し、
5/14には近隣の生産者を招いてアイガモロボ説明イベントを開催しました。
実際の機械や泳ぐ姿を見ながらたくさんのご質問を頂きました!
また、奈良ヰセキ販売(株)のYouTubeでのライブ配信も実施しました。
アーカイブ映像はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=gRsQSqtbqfA
③藻の発生(5/18)
アイガモを順調に航行させている中、5/15頃より圃場内に藻が発生してきました。
雑草抑制の視点では藻の発生によって水中への光が遮られることにより、草を抑える方法の1つとして活用されている場合もあります。
しかし、今回は藻が稲に絡みつき稲が水中にもぐったことで生育に大きく影響が出始めたため、
藻専用除草剤の投入を実施し、アイガモロボの試験を継続しました。
④移植後2週間(5/25)
藻専用除草剤の投入により藻の発生は抑えることができました。
稲の生育も無事回復してきたように見えます。
雑草も目立った発生は見られませんでした。
⑤移植後3週間、アイガモロボ引き上げ(6/2)
移植後3週となり、いよいよ引き上げとなりました。圃場全景を見た中では、条間に目立った草はないようです。
ずっと見守っていたアイガモロボを引き上げるのは少し寂しい気持ちも……。
そんなアイガモロボたちの働きを探るため、雑草調査を実施。
畔の形状によりアイガモロボがあまり近づけなかったエリアは少し雑草の発生が見られましたが、順調に航行していたエリアに入るとほとんど雑草の発生が見られませんでした。
アイガモロボの効果が出ていることを実感しました。
(左:畦畔付近、右:圃場内部)
⑥幼穂形成期前雑草調査(7/19)
幼穂形成期前の雑草調査を行いました。
圃場の外から見る限りでは目立った草は見られませんでした。
中に入ってみると、畔の形状によりアイガモロボがあまり近づけなかったエリアは草の発生が顕著になってきていましたが、
順調に航行していたエリアでは草の発生が抑えられていました。
雑草調査を行う際、生えている草を探して歩きまわる場面も……。
圃場全域をしっかり航行させることの大切さを実感しました。
⑦収穫・近隣の生産者様向けイベントの開催(10/15)
実証圃場の収穫を行いました。
コンバインでの収穫作業と合わせて、近隣の生産者様にアイガモロボの概要や実証取組結果をご説明しました。
雑草発生の傾向は幼穂形成期前の調査と同様で、刈取中の圃場を見ても圃場内部の雑草の発生は抑えられており、スムーズに刈取を行うことができました。
結果として、アイガモロボを順調に稼働できたエリアでは雑草の発生を抑えることができました。
奈良みらいデザイン様より来シーズンも使ってみたいとのお声も頂きました。
最終更新日2022.09.12
@茨城県つくばみらい市(圃場準備~実証結果まとめ 実証テスト完了)
夢総研でも水稲有機栽培にチャレンジ!
ということでアイガモロボの実証テストを行いました。
アイガモロボを投入する圃場の概要は以下の通りです。
●圃場の概要
<圃場の履歴>
・面積:43a
・昨年まで通常の栽培方法で水稲を栽培(除草剤も使用)
使用していた除草剤:カウンシルコンプリート1キロ粒剤(こまきちゃんで散布)
①事前準備
・均平作業(2月)
アイガモロボをうまく使うためには圃場の均平が重要とのことでレーザーレベラーで均平作業を行いました。
・代かき
4/27 荒代かき 5/7 代かき
③田植え(5/10)
・品種;コシヒカリ
・育苗:4/5播種(35日苗) 播種量:80g(乾籾)
有機栽培用の育苗ということで播種量を減らし、成苗を目標に育苗しました。GW中の高温もあって少し伸び過ぎましたが、アイガモロボ用には草丈(約20cm)は十分な苗になりました。
・田植えの様子(植付け株数:50株/坪)
●アイガモロボ投入(5/11)
田植えの翌日、いよいよアイガモロボの投入です。
田植え後、まだ苗が活着していない時期にロボットを入れて良いの?と疑問を持たれる方もおられるかと思いますが、基本的には大丈夫とのことです。
ロボの性能を発揮させるためには、スムーズに水が濁るように代かきからできるだけ間をおかない方が良いとのことです。この辺のこともどうなるか見ていきたいと思います。
●田植え後7日目(5/17)
アイガモロボが通ったところは水が濁っており、順調に働いているようです。ロボットにより苗が抜けたり欠株の発生もないようです。
また、アイガモロボが通ったところは苗が倒れてしまいちょっと心配ですが、苗が小さいうちは生育に影響がないそうです。
アイガモロボを使う上でもう一つ重要な水位は水田ファーモを使って、水位5cm程度をキープできるように管理します。
今回は草丈が長めの苗を植えたこともあり、水位を上げても苗の水没などはありませんでした。
●田植え後14日目(5/24)
今のところ草は生えておらず順調です。
●田植え後21日目(5/31)
植えた苗も大きくなってきました。
水が濁っていて分かりにくいですが、草はほとんど生えてなさそうです。
アイガモロボの引き上げの目安は田植後3週間、草丈30cm程度ということです。(イネが30cm以上になると生育に影響がでるということです。)
草丈も30cmを超えたので、引き上げも行いました。
これでアイガモロボの出番はひとまず終了です。ロボット君お疲れ様でした♪
今のところ、雑草抑制効果は十分でている感じですが、この後、雑草がどうなるか追跡調査していきたいと思います。
●田植え後64日目(7/13)
幼穂形成期の様子です。
農研機構のデータでは有機栽培での雑草量の目安は幼穂形成期で乾物重50g/㎡以下とされているため、雑草量の調査を行いましたが、今回の実証テストでは雑草量はほぼ「0」の結果でした。
別件で調査に来ていた農薬メーカーの方も除草剤や除草機を使わず、アイガモロボだけでほぼ雑草が生えていないので、「すごいですね」と驚かれていました。
●田植え後80日目(7/29)
ようやく出穂しました。
雑草の発生もほぼなく順調な生育です。
●田植え後114日目(9/1)
我々の実証圃場も無事、収穫期を迎えました。
初めての有機栽培チャレンジでしたが、まずまずの結果だったのではないかと思います。栽培の詳細はまた別の記事で報告したいと思います。
●アイガモロボ実証まとめ
今回の実証テストは他の実証地と比べてもアイガモロボのみでほぼ雑草は生えない結果となり非常に良い結果が得られました。
昨年まで除草剤を使用していた圃場なので、元々雑草種子が少なかったことも雑草の発生が少なかった要因の一つと考えられますが、
アイガモロボ使用の基本である、
①圃場の均平をとる。
②水没しない苗を植える。
③水位5cm以上を保つ
を守り、常にアイガモロボが動き続けることができる環境を作れば十分な抑草効果が得られる事例となりました。
最終更新日2022.12.07
@群馬県川場村(アイガモロボ投入~実証結果まとめ 実証テスト完了)
概要:知る人ぞ知る名産地、群馬県川場村でアイガモロボ実証を行っています。
レポート1 【利根郡川場村】
●ロボ投入日(5月下旬)
品種:コシヒカリ
移植日:5月15日
水位設定:平均5㎝
栽培方法:有機栽培
①アイガモロボ投入
5/18にアイガモロボ投入にうかがいました。現地には安中市の高校の生徒さん、先生方も見学にみえられ、一緒にアイガモロボの組み立てを行いました。毎年、見学に見えられているようで皆さん初めて見るアイガモロボに興味津々でした。
実証圃場には水位10㎝ほど溜めていただいており、ロボの投入はスムーズでした。水位が高すぎると、ロボのスクリューと地面の距離が空き濁りが薄くなります。なによりイネが水没してしまうと生育にも影響が及びます。投入後は水位を5㎝程にしていただくようお願いしました。後日、水位を下げてもらったのち、スマホアプリで稼働状況を見守っています。
●投入後1週間(6月上)
投入から1週間が経過した圃場の様子です。
雑草の発生が抑制されているのでしょうか、きれいな圃場です。
調査日は雨が降っており、水位が深くなっていました。水位が深いと濁りが弱まるため、スクリュー位置を下げ、濁りを増やすように調整してきました。
スクリュー位置調整は、フロート部支柱のRピン位置を差し替えることで調整します。標準位置の上から3穴目に挿していましたが、機体前側を4穴目、後側を6穴目に挿し変えました。スクリュー位置が下すぎると座礁の原因にもなるので、少し思い切った変更でしたが、安定航行しているのを確認しました。
●投入後3週間(6月下)
ロボ投入から3週目の様子です。植付した苗は3葉前後の稚苗ということもあり、ロボ安定稼働のため例年よりかなり深水管理しているため分げつが抑えめになっています。逆に水を下げてしまうとロボが座礁することもあるので、イネの生育とロボ稼働率の両立にコツがいるなと感じました。
写真ではヒエ類が発生してきています。風でロボが座礁してしまったり、通信不具合で思ったようにロボが稼働しなかったことが要因として考えられます。雑草がこの後どのような推移をたどるかが気がかりです。この後ロボは引き上げました。
●投入後1か月(7月上)
7/7の様子です。投入からすでに1か月経過しています。ロボ引き上げ後、除草機を投入しています。今回はロボだけでは草を抑えることは難しく除草機を入れる手間を省くところまではいきませんでした。
ただ、今回の試みで注意点が見えてきたので農家さんとも、やり取りの中で共有し来年以降も取り組んでみたいという意向もいただきました。
注意点① 「深水管理でのイネ生育」 ロボ安定稼働のため深水管理にしていたため、分げつの増加が緩慢になる傾向が見られました。深水でも生育が保てる大きさの苗を育苗することが大切だと感じました。農家さんからもアイガモロボ圃場の育苗方法については、今後検討していきたいとお話しいただきました。
注意点② 「圃場均平」 圃場均平は毎年、代掻きで気を付けてしているとのことでしたが、ロボ安定稼働のためにはもっと平らにしなければというのが農家さんの感想でした。
●ロボ回収、調査(7月下)
7月下旬、ロボの梱包、回収と生育調査を実施しました。
生育の方は分げつ25~30とある程度持ち直した印象です。生育状況も例年とは大きく変わらず3俵程度を見込んでいるとのことでした。
●収穫前調査、実証を振り返って(10月上)
収穫直前の圃場の様子です。夏場の間、ヒエ類が発生し機械除草の他、手取り除草を何度か実施しています。ロボでの抑草は難しかったという結果でしたが、使い方の勘所(均平の重要性、水管理等)は掴んだので今後もアイガモロボにトライしたい、との声を農家様からいただきました。収量についても例年と同等3俵前後ということでした。
最終更新日2023.03.01
@新潟県新潟市(アイガモロボ投入~実証結果まとめ 実証テスト完了)
概要:日本随一の米どころ新潟。
このレポートでは新潟市の自然栽培圃場で行うアイガモロボ実証の様子をレポートしていきます。
レポート1【北区・H氏圃場】
品種:亀の尾
移植日:5/29
水位:平均6.5cm、低いところでは2cm
圃場の特徴: ・面積41a ・「イヌビエ」「コナギ」に悩まされている。
●投入当日(5/31)
田植え2日後にアイガモロボを投入。
苗は丈25cm程もある成苗で、ロボのスムーズな走行のために水位を上げることもできそうです。
ではいざ投入!
勢いよく動き出してくれました!
にごりも順調です。
この日は人がよろけてしまうくらいの強風が吹いており、風に押され気味のアイガモロボ君でしたが、
翌日にはしっかり稼働してくれていました!
レポート2 【江南区・T氏圃場】
品種:五百万石
移植日:5/29
水位:平均7.8cm、低いところでは3cm
圃場の特徴: ・面積39a ・「コナギ」に悩まされている。
●投入当日(6/1)
新潟は日差しが暑い日でも風が涼しくて気持ち良いです。
この気候が、お米が美味しくなる秘訣なのでしょうか?
アイガモロボは順調に稼働してくれました。
レポート3 【北区・M氏圃場】
品種:コシヒカリ
移植日:5/30
水位:平均6.8cm、低いところでは4.8cm
圃場の特徴: ・面積27a ・「クログワイ」「コナギ」に悩まされている。
●投入当日(6/1)
こちらの圃場の苗は4.5~5.0葉で苗丈13cm程と、ずんぐり体型。
苗丈ギリギリの箇所もありましたがなんとか水位を確保していただき、
アイガモロボはスムーズに稼働することができました!
しばらく稼働させていると、圃場の隅にちらほら黒い物体が・・・
正体は、難防除雑草「クログワイ」の根茎でした!
このほかにコナギの芽生えなども浮かんできており、ロボが起こした水流によって
抑草効果だけでなく除草効果も得られておりました!アイガモロボは働き者ですね。
既に行われた実証で多年生雑草・球根性雑草の発生は、アイガモロボでは防ぎきれない可能性が
あることが分かっていますが、今回の実証ではどうなるのか、見どころです。
レポート4 【ロボ引き上げ・北区H氏圃場】
イネ丈が30㎝を超え始めたため、ロボを引き上げます。6/22に引き上げました。
・北区H氏圃場
アイガモロボによる除草効果が現れており、雑草の発生を抑えることができました。イネの生育のほうも例年通りとのことで、イネへのダメージも大きくなかったようです。
●幼穂形成期(7月下旬)
幼穂形成期頃、北区の実証圃場です。雑草の繁茂は見られませんでした。圃場主の農家様は、アイガモロボで雑草発生を軽減でき、工数削減につながった。空いた時間を別作業に充てられるのではないか。とおっしゃっていました。
●刈取り前(9月上旬)
9月上旬、北区実証圃場刈取り前の圃場の様子です。
収量は他圃場と同等で5~6俵くらいということでした。
また、雑草の発生状況としては、刈取り作業を妨げるような雑草は発生せず、高刈りせず普通に刈取を行えたとのことです。
●実証まとめ
北区実証圃場での結果です。
対照区は、除草機による除草作業を4回入っており、対して実証区のアイガモ区では、アイガモロボを投入し、除草機を1回に抑えており、作業工数の削減につながりました。
また、7月24日時点でほ場での残草量を調査した結果、アイガモロボ区では対照区に比べ残草量が多かったものの、いずれも新潟県のマニュアル上の基準である㎡あたり50g以下の低水準となっています。
収量については、対照区を100とした場合にアイガモ区では106となっており、収量が多い結果となりました。
除草機の回数が少なくても、草の量を基準よりも少なくし、収量を確保できる結果となりました。
最終更新日2022.12.09
@兵庫県丹波地区(アイガモロボ投入~実証結果まとめ 実証テスト完了)
概要:みんな知ってる絶品黒豆の産地、丹波。
この自然豊かな丹波にて、アイガモロボの実証を行っています。のどかな風景に馴染む、のんびりとした動きのロボットをほのぼのと気持ちで見守りながらレポートしていきます。
レポート1 【丹波篠山市I氏圃場】
品種:コシヒカリ
移植日:5/12
水位設定:平均7cm
栽培方法:慣行栽培(田植前に除草剤投入)
こちらの圃場では慣行栽培でアイガモロボを使う特殊な事例での実証を行います。
例年は初期の除草剤では生育中盤以降の雑草が抑えきれず、発生都度ジャンボ剤で対処しているため、アイガモロボを使うことでジャンボ剤無しの栽培ができるかテストしていきます。
●アイガモ投入(5/13)
田植の翌日、ユーザーのI氏自らアイガモロボの投入を行って下さいました。
事前に実証とは別の圃場でISEKIからロボの設定方法を説明し、実際に設定操作もしていただいていたので、実証圃場への投入の日はユーザーの方だけで設定ができました。
写真は1週間後の20日に伺った時の様子です。アイガモロボは順調に動いており、ロボが通った後は泥が巻き上げられ、圃場全体も少し濁っていました。
●田植え後14日(5/26)
草丈:33cm程度
1週間ぶりに圃場を見に行ってみると、アイガモロボはゆったりと優雅に泳ぎ続けていました。
アイガモロボのおかげで濁りが継続しています。雑草は生えておらず綺麗な状態が維持されています。
ロボが通ってからしばらくすると稲が起きてきており、植えたばかりの頃より稲がしっかりしてきた印象です。
●田植え後22日(6/3)
草丈:35cm程度
まだ、雑草は生えていません。実証は順調なようです。
通常はそろそろ引き上げの時期ですが、まだ動けそうなのでもう少し動かし続けてみます。
隣の圃場のアイガモのヒナもすくすく成長しています。
●引き上げ 田植え後28日(6/8)
草丈:39cm程度
例年では、除草剤の効果がきれて雑草が生え始める頃だそうですが、抑草はできているのでしょうか?
ロボが止まってから時間が経っているので水は澄んでいましたが、水中に草は見当たりません。大成功です。
また、慣行栽培をしている他の圃場と比べると生育が良いそうです。
アイガモ農法(有機栽培)の圃場も慣行栽培より生育が良いそうなので、同じような効果が得られているのかもしれません。
●田植え後66日(7/28)
草丈:103cm程度
実証圃場も稲の花が咲く季節となりました。
ロボを引き上げてから1か月以上経っていますが、雑草はほとんど生えていないように見えます。
実際にどのぐらいの量なのか調べるため、雑草のサンプルを取り乾物重を計ってみると「0.4g/㎡」でした。実証圃場は慣行栽培ですが、農研機構のデータによると有機栽培の場合、収量に影響が出ない雑草量の目安は、幼穂形成期で乾物重「50g/㎡以下」とされているため、雑草がかなり少ない状態と言えると思います。
アイガモロボを使ったことで、初期の除草剤しか使わなくても、雑草が十分に少ない状態をキープできました。
稲がここまで育てば株間に光が差し込まないため、この後雑草が増える心配もないと思うので、収穫を期待して待ちましょう。
●収穫期(9/2)
収穫適期になったので、収量調査に向かいました。
多少倒れてしまった部分もありますが、おおむね順調に収穫期を迎えられた ようです。
草の量も前回の調査の時から、ほとんど変わっていません。
今年は天候のせいなのか、同じように慣行栽培を行っている別の圃場は例年よりも減収傾向だったそうです。
果たしてアイガモロボを使った圃場はどれだけとれたのでしょうか?
調査のため、連続7株を3か所サンプリングしました。
結果は他の圃場より10a当たり約80㎏の増収となりました。
黒豆の後作圃場だったため、もともとの養分が高かった影響もあるとは思いますが、分けつが多いとの評価もいただいていることから、ロボの副次的な効果で増収につながったのかもしれません。
ユーザーのI氏にも好評をいただくことができ、大成功ではないでしょうか。
まとめ
目的:慣行栽培での生育中盤以降の除草剤削減
結果:成功 初期剤のみで収穫まで雑草を抑制
副次効果:分けつ促進と増収(前作の影響もあり)
レポート2 【丹波市K氏圃場】
品種:コシヒカリ
移植日:5/23
水位設定:平均2~10㎝(時間の経過で変動)
栽培方法:有機栽培
●アイガモ投入(5/24)
草丈:13cm程度
こちらの圃場も田植えの翌日にロボを投入しました。
一部均平が取れていなかったためにアイガモロボが動けないくらい浅くなってしまうところがあったので、それ以外の部分で動かすように航行経路を設定して使っていただきました。
アイガモロボを動かすには最低5㎝の水位が必要なため、深水を保つ管理をする必要がありますが、こちらの圃場は砂質で水が抜けやすく、ロボが動く水位を保ち続けることに苦労しました。
5㎝程度の水位だと1日足らずで水がほとんどなくなってしまうため、毎日水を入れて稲が水没しないギリギリまで溜めていただきました。
難しい圃場条件でも、抑草効果は得られるのか?今後の経過を注視したいと思います。
●田植え後11日(6/3)
草丈:17cm程度
この日、より製品の仕様に近づけて実証試験をするためカバーを外しました。
圃場は全体的に少し濁っており、ロボは順調に圃場を濁らせ続けられていたようです。
稲も活着して、少し成長してきました。
水抜けにより動かなくて実証中止になってしまう覚悟もしていましたが、ユーザー様の水管理の努力でどうにかここまで実証を続けることができました。
ここまできたなら良い結果が出るよう祈るばかりです。
ロボで抑えきれなかったヒエなどの雑草が生え始めているので、雑草が稲の生育を妨げないか今後を注視したいと思います。
●ロボ引き上げ後調査 田植え後1か月(6/23)
草丈40㎝程度
引き上げ日:6/15(田植え後23日)
引き上げの日に伺うことができなかったので、田植え後ちょうど1か月のタイミングで様子を見に行きました。
やはり雑草は少し生えています。有機栽培で草を完璧に抑えるのは難しいようです。
例年では除草機を3回入れるそうですが、藻が発生したために1回しか除草機が入れなかったそうです。
(藻が発生した状態で除草機を入れると、藻が稲に絡みついているので藻と一緒に除草機が稲を引き抜いてしまうため。)
その結果、雑草量は例年より多くなってしまったそうですが、1回しか除草に入れなかった割には少ないそうです。
ロボの効果でしょうか?
抑草以外にもアイガモロボを入れた圃場では変化が現れました。
実証圃と同じ日に植えた隣の圃場より、生育が明らかに早くなっていたのです。
この時点では、同じ日に植えたのが信じられないぐらい見た目に大きな生育差がついていました。
また除草しやすくなる効果も表れました。土壌表面がトロトロの状態になっていたため、除草機で雑草が取りやすかったとのことでした。
雑草は主にコナギが生えています。この地域ではこれからコナギの生育が旺盛になるとのことなので、コナギに負けず稲が順調に育ってくれるか少し心配です。
●田植え後66日 (7/28)
幼穂形成期を過ぎたので雑草の様子がどうなったのか、調査に伺いました。
稲が大きくなってから除草に入ると根を切ってしまうため稲の生育に悪影響が出るかもしれないので、前回の調査以降は除草には入っていないそうです。
早い株は出穂し始めており、生育は順調なようです。
株本を見ると心配していたコナギが旺盛に育ってしまっていました。稲がコナギに負けるほどにはならず一安心ですが、見た目だけでは評価できないので雑草のサンプルを取り乾物重を計ってみました。
幼穂形成期で乾物重「50g/㎡以下」というのが、農研機構のデータによる収量に影響が出ない雑草量の目安(有機栽培の場合)なのですが、それを超えてしまっていました。
藻の発生で除草に1回しか入れなかったので、仕方ない結果かと思います。
雑草量「50g/㎡以下」というのはあくまでも目安ですし稲の状態は良好なので、無事に実ってくれることを信じて収穫を待ちたいと思います。
●収穫(9/13)
雑草量は前回調査した際と変わらず多いままです。
こうなると収量が気になるところです。
調査のため、連続7株を3か所サンプリングしました。
収量は見た目と裏腹にk氏の他の有機圃場に比べて10a当たり1俵以上多くなりました。
「雑草は多いが収量も多い」という本来想定していたのとは違う結果になってしまいました。まあ、こういうこともありますよね。
増収になったことでK氏にも喜んでいただけたので、良しとしたいと思います。
今回の実証でロボの抑草効果が明確に現れなかったのは、以下の理由だと思います。
・水が抜けやすい圃場で水位をキープできず、常にロボを動かし続けることが難しかったこと。
・均平が不十分なため、水深が足りずロボを動かせない部分があったこと。
ロボの抑草効果を得るには「水田全体がまんべんなく濁った状態を継続させる」ことが必要で、圃場全体をロボが動き続けられる環境をあらかじめ整えておくことが重要だと痛感する実証となりました。
まとめ
結果:抑草効果は不明瞭(除草回数例年3回→今年1回 但し雑草量は増加)
副次効果:ロボ投入中の生育促進及び増収
結果が不明瞭な要因:均平不足、水位キープ困難
レポート3 【丹波市M氏圃場】
品種:五百万石
移植日:5/31
水位設定:平均8㎝
栽培方法:有機栽培
●田植え前アイガモ投入(5/26)
こちらの圃場では代掻き後にアイガモロボを投入しました。
代掻き後に投入すると早い段階から草の芽が出るのを抑えられるので、田植え後からの投入よりも抑草効果が期待できます。
とはいっても、理屈通りにいくかどうかは実証してみないと分かりません。ここからは、要経過観察です。
砂質土壌で水が抜けやすいのはレポート2のK氏の圃場とよく似ています。
加古川沿いの圃場だったので、川砂の影響でしょうか?
水は抜けやすいですが、水を確保しやすい環境なので水を入れ続けていただければ、ロボをきっちり動かし続けることができそうです。
●田植え後3日(6/3)
草丈:13cm程度
前回の代掻き(5/26)から田植え(5/31)まで期間があいたので、田植え前にもう一度代掻きを行ったそうです。作業中はアイガモロボを引き上げて、再び水が溜まってからロボを投入しました。
水を十分に溜め続けて下さったので、とても順調にロボが動き続けていました。
砂質土壌なので濁りは若干少ないように感じます。この程度の濁りで抑草できるか分かりませんが、ロボの力を信じてみましょう。
●引き上げ 田植え後22日(6/22)
草丈:27cm程度
雑草は生えていますが、有機栽培にしては少ない状態で抑えられているように感じます。
これまでに、2回除草機での除草を行ったそうです。
除草回数は例年通りだったそうですが、例年は除草してもヒエが取り切れないので、例年よりヒエが圧倒的に少ない状態だそうです。
実証のために、ヒエが多くて困っている圃場を選定してくださったとのことですが、除草機で抜き取られたヒエが大量に浮いていました。
ヒエが生えてきても、大きくならず、この浮いているヒエのようなサイズだったので除草機で簡単に取れたそうです。
また、理由は分かりませんが、アイガモロボを入れた圃場は、1日違いで植えた隣の圃場と比べて生育が明らかに進んでいます。
この効果は予想外だったので、ユーザーのM氏も喜んでいました。
●田植え後58日 (7/28)
幼穂形成期を迎えたので雑草量の調査に伺いました。
稲は順調に生育しており、雑草の量も少なそうに見えます。
ロボを引き上げた後は除草に入っていないとのことで、例年より除草回数が1回少なくて済んだそうです。
株本をよく見るとコナギが増えています。この地域ではロボを引き上げた後のタイミングでコナギが生えてくるので、仕方ないのかもしれません。
気になる雑草の乾物重はいかほどでしょうか?
サンプリングの結果は24.4g/㎡でした。
幼穂形成期で乾物重「50g/㎡以下」というのが、農研機構のデータによる収量に影響が出ない雑草量の目安(有機栽培の場合)なので、雑草は許容範囲に抑えられています。
後は、収穫時の結果を待つばかりです。
余談ですが、前回訪問した時に比べて、ロボを使っていない隣の圃場との生育差は分かりにくくなっていました。
●収穫期(9/13)
ようやく収穫時期となりました。
ロボを使っていない隣の圃場と比較すると、ロボ有りの圃場のほうが明らかにヒエが少なくなっています。
これでもロボを使っていない圃場のほうが除草回数は1回多いそうです。
稲の生育に関しては、途中でロボなしの圃場の生育がロボ有の圃場に追いついたように見えます。
全体的に少し青く見えますが籾は十分に膨らんでいるようなので、さっそくサンプリングして収量調査を行いました。
連続7株を3か所サンプリングし収量を求めたところ、ロボを使っていない隣の圃場より10a当たり1俵増収となりました。
見た目では分かりませんでしたが、ロボを入れた間に生まれた生育差は継続していたようです。茎数(穂数)と一穂籾数の両方が増加傾向になっていました。
ユーザーのM氏は実証を振り返り、
・生育促進(前半)
・ヒエの抑制
・除草回数低減による欠株減少。(機械の旋回部分)
以上の3点を特に強く実感されていました。
まとめ
結果:成功(除草回数:例年3回→2回 かつ 除草で取り切れないヒエが減った)
副次効果:ロボ投入中の生育促進及び増収
丹波地区の実証は以上になります。
結果的に抑草効果はアイガモロボが圃場全体をくまなく動き続けられたか否かで明確な差が現れました。ロボを有効に使うには均平作業をはじめ、事前の圃場環境を整える準備がとても重要です。
また、丹波地区での実証結果の特徴は「ロボ投入中の生育促進及び増収」の効果が共通して現れたことです。
地域的なものもあるかもしれませんが、今後この副次的な効果が表れるメカニズムが分かれば、何らかの形で発信していきたいと思います。
-(完)-
最終更新日2023.01.31
@秋田県にかほ市(圃場準備~引き上げ~実証テスト完了)
概要:
鳥海山と象潟の景観が美しい秋田県にかほ市においてアイガモロボの実証試験を行っています。
本実証は、(株)権右衛門、TDK(株)、有機米デザイン(株)、にかほ市との連携協定における、環境保全型スマート農業の取組の一環として行っています。
品種:ひとめぼれ
移植日:5/16
水位:水田ファーモで管理
圃場の特徴:前年は慣行栽培
①圃場整備(4/8、11)
アイガモロボの航行には、水位の安定と均平な圃場が望ましいとされます。今回初めて試験を行う圃場のため、漏水防止のための畦塗りと、圃場の高低差を無くすためのレーザー均平作業を行いました。
②田植え(5/16)
スマート農業の取組として、ロボット田植機で田植えを行いました。
③アイガモロボ投入(5/17)
田植の翌日、水位が確保できたところでアイガモロボを投入しました。
この日に5者連携協定締結式と合わせ、アイガモロボの進水式を実施しました。
④投入1週間後(5/23)
田植えから1週間が経ち、苗の生長に合わせて水位を上げることができロボット航行しやすくなってきました。一部浅瀬を除き、圃場全面にごり発生しています。
⑤投入2週間後(5/31)
ロボット通過により抜けた雑草が確認されました。
アイガモロボは抑草が目的ですが、水深とロボット高さがちょうど合って、スクリューが田面スレスレの場合には、小さい雑草を掻き出すこともあります。
少し雑草が見えてきましたが、雑草に泥が被っている様子が確認できました。
雑草に対して、泥をかぶせることで雑草の生長を抑制する効果も期待されます。
⑥投入3週間後、ロボ引き上げ(6/9)
水面に寝ている稲は、ロボット引き上げてしばらくすると起きてくる様子が確認できました。
草の発生の様子を見て、引き上げ後に機械除草を入れることとしました。
ロボット引き上げ時の雑草の状況としては機械除草2回入れたレベルとの感触=機械除草2回省けたことになります。
引き上げ14日後の6/21にWEEDMANで除草作業を行いました。
⑦投入5週間後(6/24)
無除草区ではホタルイの発生が見られる一方、アイガモロボ+除草機1回のエリアでは草の除草ができていました。
(左:アイガモロボ+除草機1回、右:無除草区(アイガモロボ・除草機の使用なし))
⑧その後の生育~収穫
左は7/20、右は8/30の圃場の様子です。
その後目立つヒエの発生もなく、雑草が抑えられた状態が続きました。
10/3に収穫作業を行いました。
目立つ雑草は抑えられており、刈取もスムーズに行うことができました。
スマート農業の取組として、収量コンバインで刈取を行い、同時にロボットトラクタで耕うんを行いました。
2023年もアイガモロボやスマート農機を活用した環境保全型スマート農業に取り組んでいきます。
最終更新日2022.10.20
@茨城県坂東市(アイガモロボ投入~実証結果まとめ 実証テスト完了)
レポート1【坂東市】
5/8、水稲の有機栽培に取り組まれている大規模生産者の圃場にアイガモロボを投入しました。アイガモロボでの抑草効果が現れれば、有機栽培が広がる一助になると信じ投入に伺いました。
下の写真は昨年の様子です。多目的田植機に除草機ユニットを装着し除草している様子です。物理的に土面をかき、除草を行っています。効率的ですが、イネを傷めやすいため操作には熟練の技が必要です。アイガモロボの普及により、除草機回数の削減や初級者でも有機栽培に取り組みやすい環境にしていきたいですね。
●ロボ投入から2週間(5月中)
投入から2週経過した様子です。道を挟んで両隣2枚の圃場にそれぞれロボを投入しています。写真1枚目の東側圃場では、濁りが生まれていました。ロボの濁りに加え、藻のような生物的な濁りも発生しています。ロボの攪拌により相乗効果が現れているのではと感じました。
写真2、3枚目は道を挟んで西側の圃場です。こちらは濁りが見えず透き通った様子です。ロボが通過したところは良く濁るのですが、濁りが持続しづらい圃場のようです。手で触ってみたところ土質の違いは分かりませんでした。後々、詳しい土壌組成を分析してみたら面白そうだと思いました。
●ロボ引き上げ(6月上)
投入から3週が経過しロボの引き上げをしました。東側、西側どちらの圃場もコナギのようなアオイ科の雑草が生え始めていました。
●幼穂形成期(7月中)
西側の圃場です。ロボ稼働時、濁りが薄めの圃場でした。水田除草機が入った条間は草は生えていませんが株間にはコナギ類が発生しています。土質か、はたまた別の要因か、濁りの弱さによる雑草生育への影響が現れていると感じました。
東側圃場です。こちらの圃場は濁りが強い印象でした。多少の雑草はみられますが、西側圃場より雑草が少ない印象でした。昨年の同時期の写真と比較しても草量は少ないように感じました。濁りがしっかり生まれたことでロボ効果が出ているのではと思います。
今年
昨年
どちらの圃場も例年3~5回水田除草機を走らせいます。今年は2回ということで除草作業1~2回分削減につながっています。農家さんからは、ロボの効果は実感しているとの声もいただきました。
雑草を持ち帰り草量調査をしていきます。
●収穫前調査、実証終了(9月上)
茨城や千葉北部では8月下旬から既に刈取りが始まっています。調査に伺ったこの日は、圃場は落水済みで来週にも刈取が始まるところでした。西側の圃場は幼穂形成期前はコナギが繁茂していましたが、落水を経てある程度コナギの量は少なくなっているように感じました。アイガモロボのおかげかヒエの発生は見られなかったため刈取への影響は抑えられているのではと考えられます。
例年と比べた収量ですが、ロボを入れた2枚の圃場ではそれぞれ約30㎏増減があり、収量への明確な影響は分かりませんでした。使用して頂いた農家さんからは、除草作業の労力低減という所で来年以降も使用したい、という声をいただきました。