乾田直播栽培やってみた

水稲栽培のコスト削減したい…規模拡大したいけど作業時間が…
そんなお悩みを解決?「乾田直播栽培」を実際にやってみました。

乾田直播栽培やってみた

面積拡大するにあたって、育苗や田植の労力がかかります。 省力化する技術の1つとして乾田直播栽培があります。 乾田直播栽培では、以下のようなメリットがあります。

<乾田直播栽培のメリット>

  1. 育苗時間の削減
  2. 育苗資材を購入しなくてよい
  3. 移植を行う前に、水田に播種するので移植体系と時期をずらせる
  4. トラクターにて高速作業が可能

しかしながら、直播栽培は雑草対策が必須です。 昨年試験を行った結果、たくさんの雑草が、、、 今年は雑草対策を徹底して収量540㎏/10aを目指します!!!

FS剤の塗布で病害虫に負けない水稲へ

FS剤という農薬を散布しました。移植では箱剤をよく使うと思うのですが、直播では箱剤を使えません。

代わりに種子を薬剤でコーティング!!

今回は、以下の薬剤を半分の種子に塗布

  1. ヨーバルシードFS
    →イネミズゾウムシ、イネドロオイムシ、ニカメイチュウ、イネツトオイムシに効果あり
  2. エバーゴルシードFS
    →紋枯れ病に効果あり

今回は圃場を半分に分けて効果を試してみる予定です。

FS剤で種子をコーティングしているところ

レーザーレベラーで均平に

直播種栽培では、圃場の均平が重要です。

圃場の均平が取れてないと、、水が溜まりやすい場所の発芽不良や雑草の発生などの問題が発生します。

今回は、牽引式のレベラーで均平を取りました。

牽引式のレベラーを用いた均平作業

明渠で水管理を容易に!

乾田直播では、水の出し入れが重要になってきます。水の出し入れを容易にするために額縁明渠を作成しました。

自動操舵を使い真っ直ぐに明渠を引くことに成功!

これで苗立ちが良くなること間違え無し!!

乞うご期待です。

試験圃場に作成した額縁明渠の空撮画像

いざ乾田直播種にトライ

待ちに待った乾田直播がやってきました。点播で乾燥籾6㎏/10aで播種を行いました。

自動操舵を使って、条間もばっちりそろえることができました。

肥料も同時に散布でき、ラクラク作業を終えることができました。

発芽が楽しみです!!

自動操舵機能を搭載したISEKIトラクタ
ISEKIトラクタによる播種作業

発芽前に雑草が、、除草剤で一網打尽

水稲の芽が動き始めた今日この頃、一足先に雑草ちゃんが発芽してまいりました。。。

このまま雑草を残してしまうと、水稲の生育の妨げになるので、除草剤を散布しました。

使用したのはラウンドアップマックスロード。

水稲の芽が出る前なので、非選択性の除草剤で雑草を一網打尽に。

効果が出ることを祈ります!!

発芽前に除草剤を散布しているスプレイヤーの画像
試験圃場から引き抜いた雑草

ようやく発芽!!

待ちに待った、この日がやってきました。ようやく直播の芽が出てきました。

条に沿って出そろってきました。

ひとまず芽が出て一安心!

直播試験圃場で発芽した芽の丈を計測
発芽が始まった直播栽培試験圃場

またもや雑草問題、、2度目の除草剤散布で対応!

水稲も2葉期に突入してきた今日この頃、またしても雑草たちが生えて参りました、、、

今回は、水稲をからしてはいけないので選択性の除草剤を使用。

ひえが多く生えており、ひえ5葉期まで効くクリンチャーバスMEを乗用管理機で散布しました。

雨続きでなかなか撒けずにもどかしい日が続きましたが、どうにかまにあったか、、

効果に期待します。

水稲2葉期の試験圃場から抜いたヒエ
水稲2葉期の圃場に雑草が発生している様子

水入れ

水稲芽が出そろい、いよいよ入水。

雨が多かったため、地面が湿っており、除草剤の効果を発揮するため、ここまで粘りました。

すくすく育っておくれ~

芽が出揃った直播栽培試験圃場
入水直後の試験圃場

除草剤の効果現る!

5月23日に散布した除草剤の効果が現れました!!!

あんなに生えていたひえが、見事に枯れています。

一安心です!!

試験圃場に散布した除草剤の効果で雑草が枯れているところ

中干に突入

目標茎数に達したので、先週の木曜から中干を開始しました。

溝を掘ったおかげで、一瞬で水が抜けました。

溝堀り効果は絶大です(^^

地面にひびが軽く入る程度まで中干し予定です!

中干し直前の直播試験圃場
中干し直前の直播試験圃場の全景画像
中干し直前の直播試験圃場の稲の画像

穂ばらみ期を迎えたので防除を行いました

穂がぽつぽつと出始めたこの頃、乗用管理機(JKB23)で防除を行いました。

今回使用した農薬は、ブラシンジョーカーフロアブル。

カメムシなどの害虫といもち病などの病気を抑えてくれます。

乗用管理機を走らせることで走った後に溝ができ、入排水もしやすくなります!!

穂ばらみ期になった直播試験圃場で出穂し始めた稲の拡大画像
ぽつぽつと穂が出始めました
試験圃場の防除作業中にスプレイヤーから農薬が散布されている
乗用管理機で防除している様子
ISEKIの乗用管理機で防除作業
夏らしい空

直播でも水稲予測やってみた!

まだまだ残暑が残っていますが、水稲は暑さに負けず、すくすく育っています。

そんな時、ふと直播栽培でもAMONIの水稲予測を活用できないかと思いつきました(゜o゜)

今回着目したのは葉齢。一般的な移植苗の葉齢は2.2~2.5葉。

その時期になった5月23日を移植日に設定してポチリ。

出穂が8月7日だったのに対して、2日遅れの8月9日と予測。

意外と当たってる!!

Amoniで直播試験圃場の生育を予測した画面のスクリーンショット

予測より実際の出穂が早まったのは、下記のような移植栽培との違いだと考えられます。

<移植栽培>
移植時のストレスにより活着に時間がかかる。

<直播栽培>
移植が必要がなく、移植ストレスがない。

収穫予測はどうなるのか?収穫まで追ってみます(‘◇’)ゞ

乾田直播収穫(^^)/

乾田直播栽培の収量が出ましたので、ご報告いたします(‘◇’)ゞ

今回の収量は、収量コンバイン(HJ6130)にて収量を測定しました。

収量コンバインは、収穫するだけで乾燥籾重に換算して算出してくれる優れもの!!

詳しくはコチラ→収量コンバインHJシリーズ

ISEKIのコンバインHJ6130で収穫作業
収量コンバインでの稲刈りの様子(HJ6130)

ちょっと遠回りしてしまいましたが、ここからが本題です。

収量ですが、玄米収量で432㎏/10aとなりました。あまりよくない、、、

原因は、登熟期に水が来なくなってしまったことが一番の原因。

試験していたつくばみらい市は、8月末に水路の水がなくなります。

この地域では、あと2週間早く播種するべきでした、反省です。

収穫時の稲の拡大画像
収穫時の穂の様子

ただし、除草はある程度成功(‘ω’)ノ

除草体系を維持し、2週間程度早く播種を行ってやることで収量を確保できるのではと考えます!

皆様も、規模拡大、省力軽減に乾田直播にトライしてみてはいかがでしょうか?

以上、夢総研の大森でした!

収穫時の試験圃場の全景画像
収穫時の圃場の様子

執筆者

井関農機(株)

井関農機(株)

農業機械の開発、製造、販売を行う農業機械総合専業メーカー。1926年創立以来、農業の機械化・近代化に貢献。魅力ある「農業=儲かる農業」の実現に向け「ハード(農業機械)」と「ソフト(営農技術)」の両面からお客さまの営農スタイルに合ったベストソリューションの提供に取り組んでいる。

執筆者

井関農機(株)

井関農機(株)

農業機械の開発、製造、販売を行う農業機械総合専業メーカー。1926年創立以来、農業の機械化・近代化に貢献。魅力ある「農業=儲かる農業」の実現に向け「ハード(農業機械)」と「ソフト(営農技術)」の両面からお客さまの営農スタイルに合ったベストソリューションの提供に取り組んでいる。