実証

2024.01.11更新者:ISEKI

狭幅トラクタで白ネギ機械化一貫体系やってみた

狭幅トラクタで白ネギ機械化一貫体系やってみた

ISEKIで新しく登場した大規模向け白ネギ機械を使い、機械化一貫体系での栽培をやってみました。条間130~150㎝の広幅条間にできる圃場にオススメの機械をご紹介します。

お問い合わせはこちらから


概要

テーマ登録日2024.01.11

狭幅トラクタで白ネギ機械化一貫体系やってみた

畝間に入れるトレッドの狭いトラクター(後輪外幅870mm)と各種白ネギ栽培用アタッチメントが登場しました。

今まで歩行型の管理機などで行っていた白ネギの管理作業がトラクタ1台でこなせるようになったので、実際に栽培して高効率・省力作業を体感してみたいと思います。

  • <使用機械>(主なもの)
  • ● トラクタ:TQ143KX02 井関農機㈱
  • ● 移植:ロータリ ARQ113V 井関農機㈱、溝底成型機「ねぎ丸くん」KTA-MS02 旭陽工業㈱、チェーンポット簡易移植機 ひっぱりくん HP-16 日本甜菜製糖㈱、全自動ネギ移植機 PVD10-N 井関農機㈱
  • ● 土あげ:土あげロータリ MRN90-S 井関農機㈱、土あげ成型機 TSY-102 ㈱小川農具製作所、サンソワー V-F07N-3-JH-1 ㈱ジョーニシ、薬剤散布機 THM-D-2 ㈱ジョーニシ
  • ● 防除:防除機 BS-150 有光工業㈱

レポート1

最終更新日2024.01.11

栽培体系について

狭幅トレッドトラクタ「TQ143KX02」(後輪外幅870mm)を使った白ネギ機械化一貫体系栽培を行っていきます。

白ネギ産地の関東などで多い条間90cm程度の狭幅条間の体系では畝間が狭く、栽培中は乗用型の機械が入れないので土上げなどの管理作業は歩行型の管理機で行うのが一般的です。

この体系では反収は高いものの労力がかかるため、水田転作などによる白ネギ栽培の大規模化に対応するのが難しい課題がありました。

そこで、条間を少し広げ130㎝~150㎝にし、専用の狭幅トラクタで畝間に入って管理作業を行う体系が登場しました。この体系は鳥取県などで導入されてきており、今後の水田利活用において注目の集まっている栽培技術です。

今回ご紹介するトラクタTQ143KX02を使った体系では作業機を変えるだけで、移植、土上げ、追肥、防除(粒剤散布・液剤噴霧)が行えます。

トラクタについての詳細はこちらをクリック


レポート2

最終更新日2024.01.11

育苗

ここからは、苗について簡単にご説明します。

今回、移植は全自動移植機とチェーンポット移植機の2パターンで行ってみます。全自動移植機は歩行型の移植専用機です。一方、チェーンポット移植機はトラクタに取り付けて作業を行います。どちらも高効率な移植作業が行えます。

移植機が異なると苗作りも異なってきます。全自動移植機で使う苗は葉菜類の育苗で一般的に行われているセル成形苗です。

チェーンポット移植機に使う苗はその名の通りペーパーポットを使ったチェーンポット苗です。

左:セル成形苗 右:チェーンポット苗

セル成形苗は樹脂製の200穴セルトレイに種をまきます。できた苗は機械が自動でセルトレイから引き抜きながら植えていきます。

チェーンポット苗は紙製の専用ポットに種をまきます。できた苗を引っ張るとポットが分解して苗が1列の数珠つなぎ状になり、それをポットごと植えていきます。ポットは土中で分解されてなくなります。

チェーンポットの植え付けの様子

セル成形苗は一株あたり2~3粒播き、チェーンポット苗は2粒播きで播種します。

チェーンポットの播種作業です。夢総研では普段チェーンポットは作っていないので、今回はポットのメーカーの方に播種の指導をしていただきました。

セル苗作りはお手のもののスタッフも、初の作業で心なしか緊張しているような・・・?もちろん、指導のおかげで作業は無事に終わりましたよ。メーカーの方、ご協力いただきありがとうございました。

 

※チェーンポット関連技術は日本甜菜製糖(株)の特許技術です。


レポート3

最終更新日2024.01.11

移植

6/2、育苗日数約2か月でしっかりとしたいい苗ができました。早速移植していこうと思います。

全自動移植機を使う場合は、あらかじめトラクタで植え溝を掘っておきます。全自動移植機は歩行型ですが、1株ずつ苗を供給しなくて良いので植えるスピードが速い!

チェーンポット移植機は人力で引っ張って行う作業形態が一般的ですが、トラクタに1条分又は2条分取り付けて作業を行うこともできます。

今回は2条分取り付け、2条同時作業を行いました。トラクタ作業だと、簡単に深い植え溝を切りながら移植を行えます。また、予備苗置台に最大で12枚搭載できるので、圃場外からの苗供給の手間も少なくて済みます。

苗置台から移植機への苗供給は人が行います。補助者を配置することで、オペレーターがトラクタから降りずに効率の良い作業が行えます。

隣接条合わせがしやすいようにマーカーで隣接条の目印線を引っ張っています。

こちらは1工程作業でトラクタに乗ったままスイスイ植えていけるので、とても快適です。


レポート4

最終更新日2024.01.11

土あげ

土あげ・追肥・薬剤散布が同時に行えとっても効率的です。トラクタだから歩かなくてよいので長時間でも楽々です。施薬機は前後に1つずつ装着できるので2種類の薬剤を同時に撒くこともできます。

作業後はきれいに雑草がなくなり、しっかりと株本に土を寄せることができました。

最後の土上げの際は別の作業機を使ってみました。機械の手配の都合上、土上げのタイミングが遅れてしまい雑草が伸びて目立っていますが、起こしたので枯れてくれるでしょう・・・たぶん。

雑草が多い悪条件でしたが土はきれいに寄せることができました。機械優秀!


レポート5

最終更新日2024.01.11

防除

薬液散布は専用の小型ブームスプレーヤを装備して行います。同じトラクタが使えるので、条間に入りながら効率よく散布作業が行えます。

小型ですが薬液タンク容量は150ℓあり、4条同時に防除が行えます。また、1条あたり3つのノズルを備えているので薬液がネギ全体にむらなくかかります。これなら十分な防除効果が得られそうです。


レポート6

最終更新日2024.01.11

収穫

雑草の心配もありましたが、何とか収穫にこぎつけることができました。

今回使ってみて感じたのは乗って作業できることのありがたみです。歩きにくい狭いうね間を管理作業のために長時間歩き続けるのはきつい作業です。トラクタだと作業速度が速いのはもちろん、体力的な負担が全然違うので一人のオペレーターが長時間作業に従事できる利点もあります。

うね間が広く、関東などで行われている体系と比べて植え付け本数は少なくなりますが、水田転作で大規模に白ネギ栽培を始めるには反収よりも効率が重要になります。このような機械化一貫体系はこれからの転作需要に、なくてはならないものではないでしょうか?

機械作業動画はこちらから「ネギ乗用機械化一貫体系 紹介動画」を検索

機械の詳細はこちら↓↓↓