実証

2025.01.22更新者:ISEKI

BFトラクタでマップ連動施肥をやってみた!

BFトラクタでマップ連動施肥をやってみた!

約10年ぶりにフルモデルチェンジし、2023年に販売開始したトラクタBFシリーズ。新たにマップ連動施肥に対応し、日本農業が進化します!!

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概要

テーマ登録日2025.01.22

BFトラクタでマップ連動施肥をやってみた!

約10年ぶりにフルモデルチェンジし、2023年に販売開始したトラクタBFシリーズ。新たにマップ連動施肥に対応し、日本農業が進化します!!


レポート1

最終更新日2025.01.22

BFシリーズ登場

2023年6月にフルモデルチェンジし販売開始した中型トラクタBFシリーズ。BFシリーズのZ型式は『マップ連動施肥』対応機能を装備しています。この機能は、『xarvio®FIELD MANAGER(以下、ザルビオ®フィールドマネージャー)』で圃場・施肥設定をし、そのデータをBFトラクタに読み込ませマップ連動対応の施肥機で可変施肥を行うことができます。

ヰセキでは可変施肥技術に力を入れており、田植機に続きトラクタでも可変施肥が行えるようになり、これにより畑作物でも可変施肥技術が使えるようになりました。今回、『BFトラクタ』、『マップ連動対応施肥機』、『ザルビオ®フィールドマネージャー』の先端農機・サービス3つを使い、小麦での『マップ連動施肥』を実施してみました。

★今回はBFトラクタの『マップ連動施肥』にフォーカスした記事になりますが、その他新機能も搭載し、快適性が大幅向上しています。詳しくは↓リンクよりチェック!

トラクタ【BFREX】


レポート2

最終更新日2025.01.22

マップ連動施肥

BFトラクタでの可変施肥は『マップ連動施肥』という方式で行われます。ザルビオ®フィールドマネージャーで圃場の地力をセンシングし地力マップを作成します。その地力マップを参照し、地力の高低に応じて施肥機の繰り出しモーターを制御し、増減肥を行います。『マップ連動施肥』は地力マップのほか、作物の生育状況を表す生育マップを参照することもできます。

●『ザルビオ®フィールドマネージャー』って?

ザルビオ®フィールドマネージャー(BASFジャパン株式会社)とは、ほ場の土壌や作物の品種特性、気象情報、人工衛星からの画像等をAI が解析し、センシングや生育ステージ予測・作業時期の提案などを行う栽培管理システムです。圃場の地力や植生など、今までは個人でのデータ取得が難しかった要素を誰でも簡単に可視化することができるようになり、営農における様々な判断に役立ちます。パソコンやスマホでザルビオ®フィールドマネージャーのHPにアクセスし、アカウント登録、利用プランに加入することで利用出来るようになります。

ザルビオ®フィールドマネージャーの機能は大きく3つに分けられます。

①衛星画像をAI解析したマップ機能で、地力や生育などの圃場状況を確認できる『農家の目』機能

②AIで品種や天候などを解析し、生育や病害リスクを予測。適切な作業アラートを通知する『農家の頭』機能

③スマート農機と連携した可変施肥・可変散布の実現で作業効率の向上・農薬や肥料のコストダウンに資する『農家の手』機能

今回の記事では①と③を活用し可変施肥をしました。

●どうやって地力マップや生育マップをセンシングしているの?

地力マップは過去の衛星画像から生育の傾向をAI解析し、地力をマップ化しています。圃場の地力ムラの把握や施肥管理に役立ちます。

生育マップは作期中の衛星画像から葉面積指数(LAI)を測定、AI解析し、圃場内の生育状況をマップ化します。葉面積指数(LAI)は地表面積に対する葉の面積割合を示す指数です。圃場内の生育状況の把握や追肥などの判断に役立ちます。

●どんな作物で使えるの?

ザルビオ®フィールドマネージャーに対応している作物は下記の通りです。

水稲・大豆・小麦・大麦・キャベツ・たまねぎ・ニンジン・バレイショ・甜菜・ブロッコリー・トウモロコシ・小豆・いんげん豆・レンゲ・そば・菜種・クリムゾンクローバー・ヘアリーベッチ・牧草

※機能によっては対応していない作物もあります。

●どんな施肥機でもマップ連動施肥機能を使えるの?

マップ連動施肥に対応している作業機が必要です。今回記事では『グランディGRT-300-GP (㈱タイショー)』を使ってマップ連動施肥を行いました。


レポート3

最終更新日2025.01.22

マップ連動施肥 実践!

秋播き小麦の追肥作業で、地力マップ参照のマップ連動施肥をします。

手順は、

①ザルビオ®フィールドマネージャーにアカウント登録し、施肥マップ作製が行えるプランを購入

②圃場登録

③地力マップの取得

④施肥タスクの設定

⑤圃場で実作業

となります。今回の記事では、ザルビオ®フィールドマネージャーのHPに詳細説明があるため細かい操作方法等の説明はそちらに譲り、実際の作業レポートに寄せて紹介していきます。


レポート4

最終更新日2025.01.22

事前準備

事前準備についてザルビオ®フィールドマネージャー上で行う操作の②から記載していきます。

②圃場登録を行います。

ザルビオ®フィールドマネージャー上の衛星画像から自圃場を選択します。圃場登録はファイルからのインポートにも対応しているため、圃場数が多い場合でも簡単に登録可能です。その他作目や品種、播種日などの栽培情報を入力すると圃場登録完了です。圃場登録の方法は下記図のように3パターンから選べます。

③地力マップの取得を行います。

衛星データ収集や解析のため、マップ取得は1~2日を要します。マップ施肥を行うためには前もって取得しておく必要があります。

 

④施肥タスクの設定をします。

取得した地力マップを参照し施肥タスクの設定を行うと、下のような紫色の可変施肥マップが作成されました。基本施肥量は9㎏/10aに設定しました。5段階に施肥ゾーンが分かれており、上の緑色の地力マップを参照した模様になっています。今回は5段階の可変ゾーンの施肥量それぞれは、ザルビオ®フィールドマネージャーのシステムAIが算出した施肥量で行いますが、任意の施肥量に変更することも可能です。


レポート5

最終更新日2025.01.22

BFトラクタでマップ連動施肥!

圃場作業に移ります。ザルビオ®フィールドマネージャー上で作成したデータをUSBメモリに書き出し、BFトラクタキャビン内の8インチモニターにUSBメモリを挿しデータをトラクタに読み込ませます。読み込みが完了すると下の図のように、モニターに施肥マップが表示されます。※下図の施肥マップは別圃場の施肥マップのため、形状・施肥量が異なっています。

トラクタを圃場の角にセットします。読み込んだ施肥マップとトラクタ位置をリンクさせるために位置補正を行います。

これで設定は完了しました。施肥機のコントローラはトラクタと連動モードにし、基本的には繰り出しモーターの入り切りのみの操作です。いわばトラクタが施肥機のコントローラのような役割を果たし、マップ連動施肥が行われます。後は通常作業のように施肥していきます。


レポート6

最終更新日2025.01.22

作業を振り返って

施肥量は設定9㎏/10aに対し実散布量は8.8㎏となりほとんど誤差無く散布することが出来ました。収量は430㎏/10aとなり、近隣圃場と同等の収穫を得られました。倒伏は見られず、均一な生育につながりました。

★マップ連動施肥をやってみた感想

・圃場の地力や生育をマップで可視化することができ、それに応じた栽培を考えることにつながったので率直におもしろいと感じました。また、ザルビオ®フィールドマネージャーは衛星画像を利用した解析手法のため、ドローン等の撮影手配がいらず手軽で良かったと感じました。

・可変施肥により施肥量を最適化でき、効率的な栽培につながると思いました。また、今回は数圃場でのテストでしたが、圃場枚数が多いほど効果がより明白になるのではと思いました。

・トラクタのモニターで逐一散布状況が確認できるので、とても安心感がありました。

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