実証

2021.11.25更新者:ISEKI

木更津市との連携 水稲スマートオーガニック栽培

木更津市との連携 水稲スマートオーガニック栽培

千葉県木更津市と協力して、水稲有機栽培に有効な栽培技術の実践・検証を行っています。

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概要

テーマ登録日2021.03.26

水稲スマートオーガニック栽培での除草対策

井関農機は、2021年4月に千葉県木更津市と「先端技術を活用した農業の推進及び有機農業の推進に関する連携協定」を締結し、スマート農業および有機農業の実践・検証をはじめます。

有機農業では、農薬を使わずに除草することが一番の課題となっています。

この課題を解決するため、木更津市と協力して、遠隔で雑草を抑えるための「水管理技術」と、発生した雑草を取り除く「除草技術」を組み合わせた「スマートオーガニック栽培」に挑戦します。


レポート1

最終更新日2021.03.26

井関農機と木更津市との連携協定

千葉県木更津市は、「オーガニックなまちづくり」を市の重点方針として掲げており、2019年度から市内で生産された有機米を市内公立全小中学校の学校給食に提供するなど、有機農業の推進に積極的に取り組んでいます。こうしたなか、2019年に開催した「第21回米・食味分析鑑定コンクール:国際大会in木更津」に井関農機が出展したことを契機に、有機農業を技術面からサポートし盛り上げるため、連携協定を結ぶこととなりました。有機水稲を栽培するうえで一番の課題となっているのは、雑草防除対策です。スマート農業関連商材である「水位センサー」や「水田除草機」等の実践・検証を行うことで、課題解決を図ります。

2021年3月26日 木更津市役所で開かれた連携協定締結式


レポート2

最終更新日2021.05.13

有機水稲栽培の育苗について

木更津市で有機栽培を行っている品種は「コシヒカリ」です。

水稲有機栽培での育苗で大事なポイントは、中苗以上の充実した苗を作ることです。

・・・なぜなのか?

有機栽培では雑草を予防する対策として「深水管理」が有効とされています。中干しまで、7㎝以上の水位を保つことで、田面付近の溶存酸素を減らすとともに、水圧をかけて雑草の生育を抑えます。稚苗では田植後に苗が水没する恐れがあることから、中苗以上の大きく充実した苗を作ることが大事になってくるわけです。

写真の苗は播種後28日目。草丈も23cm程度に大きくなりました。

木更津市の場合は、播種後30日~40日で田植えを行っていきます。

草丈は約23cm 播種量は苗箱1枚あたり乾籾80g

ハウス内での育苗 マット苗


レポート3

最終更新日2021.06.01

水管理技術による雑草予防への挑戦! 水位センサー・水田ファーモ

水稲有機栽培では、雑草を予防する対策として「深水管理」が有効とされています。

田植え後の深水管理を徹底するため、田植が終了した5月下旬に水位センサー・水田ファーモを木更津市内の水稲有機栽培生産者様11名の圃場に設置しました。

生産者11名すべての圃場水位が、スマートフォンを通じてリアルタイムで更新されるため、他の生産者様や木更津市役所・農林水産課と情報共有ができ、確実な深水管理につながります。

木更津市内に設置した「水田ファーモ」

木更津市内の「水田ファーモ」設置状況

木更津市役所の方と一緒に「水田ファーモ」の確認

 


レポート4

最終更新日2021.06.05

除草技術による雑草除去への挑戦! 水田除草機・WEEDMAN

水稲有機栽培では除草剤が使えないため、手作業などで物理的な除草を行います。しかし、除草作業の時間は慣行栽培と比べて約6倍かかるなど、有機水稲の取り組み拡大には除草作業の省力化が課題となっており、各種水田除草機が提案されています。

水田除草機の中で、注目を集めているのが、オーレック社の乗用機械除草機・「WEEDMAN」です。1行程で、条間と株間を同時に除草できるため、除草時間を大幅に短縮でき、全国各地の有機水稲生産者様に高い評価をいただいています。

今回は、木更津市内の水稲有機栽培生産者様2名の圃場で、WEEDMANの実演を行います。田植後10日ごろに1回目、以降10日間ごとに2回目・3回目の作業を行う予定です。草が抑えられることを期待しています!

水田除草機・WEEDMAN 8条仕様と6条仕様があります

除草部 爪とレーキが回転しています。

 


レポート5

最終更新日2021.06.08

WEEDMANでの除草作業 1回目

6月8日、有機水稲生産者様2軒の圃場で水田除草機・WEEDMANでの1回目の除草作業を行いました。

実演会の形で行い、1軒目の圃場では15名近くの方、2軒目の圃場でも10名近くの方にお集まりいただきました。

生産者様のWEEDMANに対する期待の高さがうかがえます。

実証圃場では除草剤を一切使用していないうえに、田植後は気温が高かったため、早くもコナギ等の雑草が生えてきていますが、

WEEDMANは生えてきた雑草を根こそぎ取り除いていきます。

水面には根から抜けた雑草が多く浮かんでいました。

また、圃場には藻(アオミドロ)が多く発生していますが、WEEDMANの作業で藻を埋没させることができました。

作業中に倒れたイネが若干あります。気になるところですが、根が抜けていなければ数日後には立ち上がる予定です。

2回目の除草作業で途中結果を確認してみましょう。

 

草が取れる様子は動画をご確認ください。↓

右側が作業前 雑草だけでなく「アオミドロ」も発生している

参加者でWEEDMANの仕組みを確認

 

 

 

 

 

 

 

WEEDMANで根から取れた「コナギ」

作業後の様子 抜けた「コナギ」が多数浮かんでいる


レポート6

最終更新日2021.06.17

WEEDMANでの除草作業 2回目

6月17日、WEEDMANでの除草作業2回目を行いました。

前回の作業から9日後ですが、やはり雑草は手ごわい・・・すでに「コナギ」が生えてきています。でも、これは想定内。機械除草で大事なことは、草が小さいうちに早め早めの除草を行うことです。繰り返し除草作業を行うことで、雑草を退治します。

前回の除草作業で心配になった倒れた稲も、ちゃんと立ってきています。

今日の作業でも、WEEDMANが通った跡は雑草が再び見えなくなりました。条間だけでなく、株間もしっかり草が取れています。

稲の草丈は35cm~40cmと大きくなりました。もう少し稲が成長すると、稲が水面を覆うようになり、遮光効果で雑草を抑制します。

稲が大きくなると、雑草との闘いも終わりが見えてきます。

前回の作業後に生えた草を除草していきます。

 

 

 

 

 

 

 

稲の草丈は35~40cm程度。しっかり立っています。

WEEDMAN作業後の様子 雑草はほとんど見えていません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


レポート7

最終更新日2021.06.19

水管理技術による雑草予防の挑戦! 水位変化確認

深水管理のため、水田ファーモを設置してから約1ヶ月経ちました。

木更津市内は砂地の圃場が多いため、少し油断すると水位がすぐに下がってしまいます。

ファーモはスマートフォンで水位を確認できるため、水位が下がってもすぐに対応可能です。グラフを見ていても、10cm以上の水位がキープできています。

深水管理は中干まで続けます。

木更津市内生産者様 スマートフォンでの水位確認画面


レポート8

最終更新日2021.08.07

WEEDMANでの除草作業 雑草チェック

WEEDMANでの除草作業から約2か月経ちました。出穂時期を迎え、作業した圃場はどうなっているでしょうか?

8月7日に雑草のチェックを行いました。

圃場の一部で、雑草の取り残しが発生し、コナギが発生している場所がありましたが、多くの場所では雑草を抑えることが出来ています。

田植直後は小さかったイネも、この時期になると草丈は115~125cm程度と大きく成長しています。

ここまでくると株元に光が当たらないため、雑草は成長しにくくなります。

茎数は50株植えで1株あたり約23本となっています。

農薬等を使用しない有機栽培の水稲としては、十分な茎数ではないでしょうか。

水田除草機の作業では、特に枕地旋回時にイネを埋没させてしまうことで発生する欠株を気にされる方が多いかと思います。

今回の実証圃場でも枕地で欠株が発生していましたが、そのかわりに欠株周囲では1株あたりの茎数が約49本となりました!

2倍近くの分げつが取れています。欠株があっても、収量の面では十分カバーできそうです。

これから、木更津市は実りの秋に向かっていきます。

 


レポート9

最終更新日2021.08.31

マット苗での育苗と中赤外線シートの効果確認

今回は話題を変えて、育苗に関する取組についてご紹介いたします。

レポート2「有機水稲栽培の育苗について」でも触れましたが、水稲有機栽培では雑草を予防する対策として、

移植直後から中干しまで7cm以上の水位を保つ「深水管理」が効果的とされています。

「深水管理」の場合、稚苗では田植後に水没する恐れがあることから、

中苗~成苗の大きく充実した活着の良い苗を作ることが大事になってきます。

これまで、木更津市では成苗育苗が行いやすい「ポット育苗」を行ってきました。

しかし、「ポット育苗」にはポット苗専用の育苗箱や田植機が必要なことから、

新たに水稲有機栽培に取り組もうとする生産者にとっては、ハードルが高い場合があります。

そこで、今年から一般的によくみる普通の水稲苗「マット苗」で、

生産者様が既に所有している普通の田植機を使って、「ポット育苗」と同等の品質・収量の確保が可能かどうかトライしています。

「マット苗」でも、中苗~成苗の大きく充実した活着が良い苗を作ることが大事です。

そこで、生産者様の協力を得て、成長を促すために試験的に中赤外線を発するシートを苗箱の下に設置し、効果の確認を行いました。

シートから発生する中赤外線には植物体の代謝を良くさせ、健全な苗づくりに効果があるとされています。

播種後28日目に育苗した苗を確認すると、中赤外線シートを使用した方が、苗箱の穴から出ている根が多いように見えます。

生産者の方には、中赤外線シートを使ったマット苗と普通のマット苗を別々の圃場に田植して有機栽培で管理していただき、8月31日に収穫を迎えました。

収穫当日に木更津市役所の方が坪刈りを行いました。これから収量・品質の調査を行います。

 


レポート10

最終更新日2021.09.08

WEEDMANでの除草作業 収獲前の様子と収量調査

実りの秋を迎え、WEEDMANで除草した圃場がどうなっているか、大いに気になるところです。

これまで、木更津市内の水稲有機栽培生産者様2名の圃場で、WEEDMANの除草作業実証を行ってきました。

両生産者様のWEEDMAN除草圃場も、無事に収穫の時期を迎えました。

地面に雑草が残っている場所が圃場内に一部ありましたが、多くの場所で収穫時期まで草を抑えることが出来ました。

刈取時期に草が多く残っていると、コンバインでの収穫時に支障が生じますが、

草も少なく、コンバインでの収穫も順調に行えそうです。

このうち圃場1枚で、9月8日に千葉県君津農業事務所様と木更津市役所様の協力をいただき、坪刈り調査を行いました。

収量結果がどのようになるのか、乞うご期待です。

 

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