実証
2021.11.11
水稲育苗用生育促進シートを使ってみた
苗箱の下に敷くだけ。手軽に使える生育促進シートの効果を試してみました。
- 概要テーマ登録日2021.04.20水稲育苗用生育促進シートを使ってみた
- レポート1最終更新日2021.04.20どんな感じか使ってみた
- レポート2最終更新日2021.04.27育苗開始
- レポート3最終更新日2021.05.03育苗途中経過
- レポート4最終更新日2021.05.11育苗終了
- レポート5最終更新日2021.05.24本田での生育比較
- レポート6最終更新日2021.06.15中干シーズン到来
- レポート7最終更新日2021.09.08いよいよ収穫!違いはいかに・・・?
テーマ登録日2021.04.20
水稲育苗用生育促進シートを使ってみた
赤外線の効果で生育が促進されるというこちらのシート。 使った農家の方から、収量や食味が向上したとの声があり、夢総研でも試してみることにしました。 <生育促進シートの効果> ○光合成促進により健苗に育つ (発根量増加、徒長抑制) ○根の老化抑制 これらの効果により、本田での活着や生育が促進され、品質向上や増収につながるというものです。 このコーナーではシートを使って育てた苗を植付け、収穫まで経過を追っていきます。
最終更新日2021.04.20
どんな感じか使ってみた
まずは、シートを見てみます。 メーカーの説明によるとシートの黒い部分から赤外線が出ているそうです。 片面に不織布がついており「裏表があるのでは?」と思っていましたが、どちらの面で使っても効果に違いはなく裏表の区別はないそうです。 使い捨てではなく、洗って7回ほど繰り返して使えるので、資材コストも抑えられそうです。 薄く、丸めても畳んでも問題ないので、保管場所に困ることもなさそうなのが好印象です。 使い方はこのように苗をシートの上に置いておくだけ。 特別変わったことをする必要はなく、いつも通りのやり方で育苗できます。 これなら導入しやすそうです。
最終更新日2021.04.27
育苗開始
実際にシートの上で育苗して効果を試してみます。 <播種概要> 播種日:4/20 品種:コシヒカリ 播種量:乾籾130g/箱 培土:ヰセキ培土ライト(軽量培土) 使用殺菌剤:ナエファイン2000倍 1L/箱(苗立枯病防除 4/27施用) 比較のため、シート無しの苗も隣で育苗します。
4/27(播種後7日目)の写真です。 シート有りの苗も無しの苗もどちらも緑化して芽が出そろいました。
最終更新日2021.05.03
育苗途中経過
5/3(播種後13日目)の苗の様子です。 どちらの苗も草丈が伸び順調に育っています。 今後どうなるか楽しみです。
最終更新日2021.05.11
育苗終了
5/11(播種後21日目)移植適期になったので、完成した苗を比較してみました。
左シート無し 右シート有り 出来上がった苗のサンプルをとり、調査した結果は以下のようになりました。
数値的には大きな差が出ませんでした。 ですが、見た目ではシートを使った方は若干草丈が低くなっているように見えます。 シートの効果として徒長抑制が謳われているので、効果が現れたのでしょうか? あくまでも主観ですが、シート有りの方がなんとなく根が多く張っているような感じもします。 数値に表れていない部分で、何か差が出ているかもしれません。 今後はシート有りと無しの苗、両方を同じ圃場に植え付けて、生育に違いがでるか経過を追っていきます。
最終更新日2021.05.24
本田での生育比較
ここからは、植付後の生育状態をレポートしていきます。 植付は以下の条件で行いました。 ○移植日:5/11 ○使用機械:PRJ8(ISEKI最新田植機) ・植付株数:50株 ・横送り回数:24回 ・縦かき取り量:11mm ○苗使用量:14.6箱/反 ○施肥量:ヰセキスーパーアイコート 26.9㎏/反(N:5.5㎏/反) ○除草剤施用量:カウンシルコンプリート 1㎏/反 ○箱施用剤使用量:エバーゴルワイド 50g/箱 5/24(移植後13日目)の様子です。どちらの苗も順調に活着したようです。 収量、食味などに違いが出るのか、今後の生育を楽しみに待ちましょう。
最終更新日2021.06.15
中干シーズン到来
6/15(移植後35日目)の様子です。 生育はとても順調です。分げつも進んで、株がずいぶん大きくなりました。 これから中干していこうと思います。
最終更新日2021.09.08
いよいよ収穫!違いはいかに・・・?
前回記事から、これまでの生育の様子です。
多少紋枯れ病や倒伏が発生してしまいましたが、おおむね順調に収穫を迎えることができました。 生育促進シート有りの側の倒伏が少ない感じがしますが、それ以外は見た目に明らかな違いはありません。 そこで、坪刈りを行い、収量や品質などを詳しく比較しました。 結果は以下の通りです。
収量構成要素と収量
外観品質
食味品質
くず米率や着色粒は生育促進シート有りの方が若干少なかったものの、今回のテストでは収量、品質ともに大きな差は見られませんでした。 先日、このシートを使用されている作付け規模数十ヘクタールのベテラン農家の方に話を伺ったところ、 「苗の根がらみが良くなり、移植した後、水に食われなくなった。(活着が良くなった)」と言われていました。 今回の試験では残念ながらメーカの謳っている効果は分かりませんでしたが、このシートを導入されている大規模農家も多いので、 来シーズンは特に影響が大きいと思われる育苗条件を変えるなどして、引き続きテストを行おうと思います。 とても導入しやすいお手軽資材なので、夢総研ではこれからも注目して実証していきます。