実証
2022.01.31
センサ付き可変施肥機で水稲の生育ムラをなくす
どうも皆さんこんにちは!夢総研です!
お米の品質を均一にするためには、圃場内の生育をそろえてやることが重要なポイントです。
しかし生育ムラをなくすことは簡単ではありませんよね。
そこで今回は生育状態に合わせて思い通りに施肥量調整ができる機械を使用して均一な生育を目指します。
- 概要テーマ登録日2021.04.20試験概要
- レポート1最終更新日2021.05.11田植えしながら地力ムラをチェック!
- レポート2最終更新日2021.07.07追肥直前の生育ムラをチェック!
- レポート3最終更新日2021.07.09試験開始!スマート追肥システムで生育ムラ矯正
- レポート4最終更新日2021.09.17結果発表!仕上がりを確認
- レポート5最終更新日2021.10.05美味しくできたかな?品質を調査!
テーマ登録日2021.04.20
試験概要
使用する機械「スマート追肥システム」
スマート追肥システムは機体前方のセンサで作物を測定しながら、その場その場の生育状態に応じて施肥量を自動で増減できる機械です。
センサの値に合わせて施肥量を設定できるので、「葉色が薄い場所は〇kg多く撒きたい」、「生育が旺盛で徒長しそうな場所は〇kgくらい肥料を少なくしたい」など思い通りの施肥量調整が可能です。
達成目標
スマート追肥システムを用いて生育の均一化を目指す。
試験概要
・品種:コシヒカリ
・試験地:茨城県つくばみらい市(40a圃場)
・播種:4月20日
・田植え:5月11日
・追肥:スマート追肥システム使用:7月中旬
・調査項目:玄米の蛋白含有率、アミロース含有率、品質評価値(成分分析計「AN-820」による評価値)
最終更新日2021.05.11
田植えしながら地力ムラをチェック!
田植えを行い、田植機で元肥窒素を2kg/10a側条施肥しました。
同時に田植機に搭載されたセンサで肥沃度を測定した結果、図のように地力にムラがあることがわかりました。
このムラが今後の生育にどれほど影響するのでしょうか、次回は葉色を調査します。
最終更新日2021.07.07
追肥直前の生育ムラをチェック!
田植えから57日後、幼穂形成期にさしかかる時期に生育ムラを確認しました。
確認にはドローンの空撮画像をから葉色を解析できる「いろは」を使用しました。
解析結果は下図の通り、葉色値のスケールを見ると圃場内にバラつきがあることがわかります!
特に圃場中央付近の葉色値は「5」と目立って濃くなっていました。
スマート追肥によって生育ムラをなくすことはできるでしょうか?
最終更新日2021.07.09
試験開始!スマート追肥システムで生育ムラ矯正
生育ムラをなくすためにスマート追肥システムで可変施肥しました。
追肥直前にスマート追肥システムで圃場の生育量を測定し、生育のバラつき具合に合わせて可変施肥の範囲を決めます。
今回は追肥化成626を 6.3kg-18.8kg(窒素1kg-3kg)の範囲で生育に合わせて増減するように設定しました。
7月7日の葉色診断(2日前のレポート2を参照)と今回の施肥結果を比較すると葉色の濃さと反比例するように施肥量がばっちり増減できていました。
特に葉色の濃かった地点(赤丸の場所)を見るとわかりやすいですね。
今回の可変施肥(窒素1kg-3kg)で生育のバラつきをなくすことができるのか…収穫が楽しみです。
最終更新日2021.09.17
結果発表!仕上がりを確認
収穫直前にドローンで空撮しました。
バッチリ黄金色に仕上がっていますね!圃場全体で生育ムラはなさそうに見えます。
衛星画像を解析してタンパク含有率を分析できる「天晴れ」で測定した結果、やはり均一になっていました!
ちなみに隣の圃場と比べてもムラが少ないことがわかります。
葉色の特に濃かった中央付近も倒伏することはなく、スマート追肥の効果がでているようです!
おかげで刈取もかなりスムーズでした。
最終更新日2021.10.05
美味しくできたかな?品質を調査!
米の食味はタンパクやアミロース含有率が低いほど粘り強く、美味しいと言われています。
試験圃場の玄米の成分を調査した結果、タンパク含有率は、日本の平均値6.8%より低く、アミロース含有率も一般的な値19%と比べて低めの値となりました。
タンパクやアミロース含有率は窒素分を与えすぎると高くなってしまうのですが、スマート追肥したことで生育に合わせたベストな窒素量が施用でき、良いお米に仕上がったたようです。
この結果を反映してか、品質評価値も70-80%の人が美味しいと認める74点以上になっていました。これはうれしい成果です!
ちなみに収量もコシヒカリの全国平均値535kg/10aを35kg上回る570kg/10aとなり、上々のできでした。
今年は倒伏もなかったので、来年度は追肥量をもう少し増やすとさらに品質・収量ともに向上できるかもしれません、再チャレンジが楽しみです。