中型トラクタ向け乾田直播作業機のご紹介”鎮圧編”

中型トラクタ向け乾田直播作業機の紹介記事、3回目の今回は鎮圧に使う作業機について解説します。鎮圧も乾田直播を成功させるための肝になる作業ですので取り組む際は、この記事を見て是非機械をそろえてください。

鎮圧作業

鎮圧は発芽の安定化に欠かせない大切な作業ですので、まずは行う意味を解説します。鎮圧は播種前と播種後に行いますが、それぞれ目的が異なりますので、分けて解説していきます。

播種前鎮圧(播種床造成)

耕うん同時播種機(ロータリ+汎用播種機など)を使う場合は事前の砕土のみを行い、播種前の鎮圧は行いません。

スピードの出せる耕うん機構を持たない播種機(汎用高速播種機など)を使う場合は播種床の硬さが播種深度に影響しますので、播種床を鎮圧して最適な硬さにする必要があります。乾直では狙った播種深度に安定して播けるかどうかで発芽率が大きく異なりますので、鎮圧は大切な作業になります。

砕土の目安
20㎜以上の土塊30%以下
鎮圧の目安片足のかかとに全体重をかけたときの足跡深さ
東北北部 以北約40㎜
東北南部 以南約50㎜
※暖地と寒地で最適な播種深さが異なるため目安が異なる

均平作業でも副次的に砕土と鎮圧がかりますので、均平後に土が細かくなっており適度に地面が締まっている場合は播種前鎮圧を省略出来ます。

播種前鎮圧に使う機械の種類
バーチカルハロー
ケンブリッジローラー(ロータリーなどでの事前砕土が必要)

播種後鎮圧

播種後は必ずケンブリッジローラーや振動ローラーで鎮圧を行います。播種機の鎮圧機構だけでは十分な鎮圧がかからず種籾と土が密着しません。

種籾は土が密着することで土の水分を吸収し発芽の準備が始まりますので、発芽率の安定化には欠かせない作業になります。

また、乾田直播は代掻きをしないため地面から地中への水の浸透が多いので、播種後の鎮圧には水みちをなくして浸透を減らす意味もあります。

播種後鎮圧に使う機械の種類
ケンブリッジローラー
振動ローラー

鎮圧作業機の特徴

バーチカルハロー

爪軸が地面に対して垂直になっている耕うん作業機で、表層のみを撹拌し土を砕きます。後ろに鎮圧ローラーがついています。播種前鎮圧にのみ使います。

メリット
ロータリーと違い爪で撹拌した下層に硬い耕盤ができないので、根が生育しやすくなる
砕土と同時に鎮圧がかかり作業工程を省略できる
(土質によってはさらに鎮圧が必要になる場合もある)
デメリット
ロータリと比べると砕土性は劣る
バーチカルハローV20CF3
スガノ農機(株)
V20CF3

ケンブリッジローラー

ローラーの重量で大きい土塊を踏みつぶし、荒く砕く作業機です。ローラが重いのでスピードを出さなければ鎮圧も効きます。

乾田直播では鎮圧のために使いますので、スピードを控えめにして作業します。(5㎞/h以下)

メリット
作業幅が広く作業能率も高い
(中型トラクタ対応機種の作業幅:2.1~2.5m※2.5mは条件による)
デメリット
播種後鎮圧で地中への水の浸透をなくすには複数回の鎮圧が必要になる
ローラーが重いため、中型トラクタではけん引式しか使えず、取り回しが悪い
K型ローラーTKRシリーズ
(株)IHIアグリテック
TKRシリーズ

振動ローラー

振動するローラーにより軽量でも強い鎮圧力がかかるようにした機械です。PTO駆動なので直装式になっています。

メリット
作業機が軽く50PS未満の小さなサイズのトラクタでも使える(30PS以上)
強い鎮圧がかかるので1回で地中への水の浸透を止めることができる
デメリット
作業幅が狭く、水の浸透を止めるためには作業スピードが出せない
(作業幅:1.2~1.8m 作業速:3km/h以下)
鎮圧が強いので播種前に使うと、土が硬くなりすぎて播種できなくなる場合がある
(一般的には播種後に使う機械)
振動ローラーSV3-Tシリーズ
川辺農研産業(株)
SV2-T、SV3-Tシリーズ

おわりに

大型トラクタに比べ、50~60PS程度の中型トラクタでは作業機の幅が狭くなりますので、鎮圧作業効率が落ちます。中型トラクタでの乾田直播は取り回しの良さが魅力ですが、この点を検討したうえで導入するトラクタのサイズを決めていただければと思います。

大型トラクタ体系についてや乾直の概要について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。https://amoni.iseki.co.jp/article/1892/

執筆者

ISEKIグループ

ISEKIグループ

2025年、井関農機が創立100周年を迎える記念の年に、国内広域販売会社6社と三重ヰセキ販売、井関農機 営業本部が統合し、新たに「ISEKI Japan」としてスタートしました。

これからも、私たちの「地域で農業を営む皆さまを一番近くで支えていきたい」という熱い思いを胸に、農業に関わるあらゆる場面で、日々皆様のお役に立てるよう努めて参ります。

執筆者

ISEKIグループ

ISEKIグループ

2025年、井関農機が創立100周年を迎える記念の年に、国内広域販売会社6社と三重ヰセキ販売、井関農機 営業本部が統合し、新たに「ISEKI Japan」としてスタートしました。 これからも、私たちの「地域で農業を営む皆さまを一番近くで支えていきたい」という熱い思いを胸に、農業に関わるあらゆる場面で、日々皆様のお役に立てるよう努めて参ります。