狭幅トラクタで白ネギ機械化一貫体系やってみた
ISEKIで新しく登場した大規模向け白ネギ機械を使い、機械化一貫体系での栽培をやってみました。条間130~150㎝の広幅条間にできる圃場にオススメの機械をご紹介します。
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井関農機(株)
夢総研では、「納豆菌の力」で土の状態が良くなると作物にどのような変化が起こるのかを調べるため、
様々な作物で実証を行っています。
昨年行った「納豆菌の力」の実証では、大根はネキリムシの被害がひどくて効果確認ができなかったため、
今年再度実証を行いました。

「納豆菌の力」は、枯草菌(納豆菌は枯草菌の一種)を数種類ブレンドした微生物資材です。
「納豆菌の力」を施用すると、土の中のワラなどの大きな有機物を最初に分解してくれる菌が増え、全体の微生物が増加し、作物を育てやすい土へ改善する効果があります。
使い方は
① 発芽前土壌散布
② 発芽後土壌散布
③移植機のかん水装置での散布
など様々な方法があります。

例えば、①の発芽前土壌散布は除草剤に混ぜて撒くことができます。圃場に直接播種する作物は、播種後に撒く除草剤に納豆菌の力を混ぜる方法が簡単でオススメです。
もちろん、発芽後の生育途中に撒く除草剤に混ぜて使うこともできます。
②の発芽後土壌散布は例えば、水稲苗の潅水代わりに「納豆菌の力」の希釈液を撒くことができます。
③は潅水装置の水に「納豆菌の力」を混ぜるだけで移植と同時に施用できます。



大根は圃場に直接播種するので、①の発芽前土壌散布で試験しました。播種後、除草剤のトレファノサイド乳剤に混ぜて使いました。
「納豆菌の力」を畑作に用いる場合の標準散布量は500ml/10a(原液)です。なので、10a分の薬剤に500mlの「納豆菌の力」の原液を混ぜて使います。
今回使ったトレファノサイド乳剤の場合は、希釈液の散布量が100L/10aなので「納豆菌の力」を200倍に希釈して施用したことになります。
整形機を用いてうね立て同時播種を行い、その翌日、除草剤と一緒に納豆菌の力を畝全面に散布しました。
今回は昨年と同じ過ちを繰り返さないために、ネキリムシ誘殺剤のネキリエースKを畝の上面にしっかりと撒いて駆除しておきました。
<栽培概要>
うね体系と施肥量、使用機械は以下の通りです。

| N | P2O5 | K2O |
|---|---|---|
| 11.2kg | 15kg | 9.6kg |
| トラクタ | RTS23GQCY |
|---|---|
| 作業機 | 平高畝整形機(藤木農機) |
| 播種機APS(アグリテクノサーチ) | |
| 鎮圧ローラー(藤木農機) |


発芽するまで時間がかかったので心配していましたが、欠株はとても少なくきれいに出そろいました。
ネキリムシの被害も出ていません。これなら、良い試験が出来そうです。


播種後43日目の様子です。順調に生育していますが、地上部の生育に大きな差は感じられません。
今は、次から次へとやって来るカブラハバチに悩まされています。油断せずしっかりと防除していきたいと思います。


全体的に大根の首が十分に太くなりました。少し太くなりすぎているように見える株もあります。
今日はジャガイモの収穫もあり、大根の収穫を始めたときには夕闇が迫っていましたが、週末なので収穫しないと日が空いて適期を逃してしまうため、急いで終わらせました。
無処理区のサンプリング株を選んでいると軟腐病が散見されました。株元から腐ってとろけ、強烈な悪臭を放っています。


事前に発生しているのは分かっていたので、発病株を抜いたり、防除回数を増やしたりして対処していたのですが、残念ながら広がってしまいました。前の週に雨が続いていたのが、原因かもしれません。
次に「納豆菌の力」施用区のサンプルを選んだ時には、軟腐病を見かけませんでした。


ジャガイモを収穫した際も「納豆菌の力」を施用した株はそうか病が少ない感じがしていたので、大根の軟腐病にも効果があるかもしれないと思い、発生率の調査をしてみました。
各区、植わっている状態で連続20株の株元を目視確認し、発病率を調査しました。
なんと、無処理区では15%発病していたのに対し、「納豆菌の力」施用区では発病株はありませんでした。
| 試験区 | 発病株数 | 発病率 |
|---|---|---|
| 無処理区 | 3 | 15% |
| 納豆菌区 | 3 | 0% |
今後、専門家の方も交え、科学的な評価を行っていく必要はありますが、ジャガイモのそうか病抑制で推測した、「納豆菌の力」の効果(「納豆菌の力」を施用することで、土壌微生物の生態系が改善され、その結果、病害が抑制される)が大根でもみられたのかもしれません。
そうか病について詳しくはこちらの実証記事へ 「納豆菌の力」をジャガイモに使ってみた!
昨今、台風の上陸や夏の豪雨が増えているため、高温多湿条件で多発する軟腐病は大根栽培で重要病害であり、今後被害が拡大することも考えられますので、夢総研でも、実証を続けていきたいと思います。
今回、収量については、各区とも生育は順調で十分なサイズになっていたこともあり、差は見られませんでしたが、階級をみてみると、「納豆菌の力」施用区の大根はサイズが揃っていました。
(Mサイズの割合は、無処理区45%、納豆菌の力施用区75%)
納豆菌の力を施用することにより、土壌環境が改善され、土壌状態のムラが緩和されて生育が揃ったのかもしれません。
| 試験区 | 大根長(cm) | 大根径(cm) | 大根重(g) |
|---|---|---|---|
| 無処理区 | 38.0 | 8.8 | 1822 |
| 納豆菌区 | 36.7 | 9.0 | 1754 |

| 試験区 | S (1~1.5kg) | M (1.5~2kg) | L (2~2.5kg) | 2L (2.5kg~) |
|---|---|---|---|---|
| 無処理区 | 4本(20%) | 9本(45%) | 7本(35%) | 0本 |
| 納豆菌区 | 2本(10%) | 15本(75%) | 3本(15%) | 0本 |
| 試験区 | 無処理区 | 納豆菌区 |
|---|---|---|
| S (1~1.5kg) | 4本 (20%) | 2本 (10%) |
| M (1.5~2kg) | 9本 (45%) | 15本 (75%) |
| L (2~2.5kg) | 7本 (35%) | 3本 (15%) |
| 2L (2.5kg~) | 0本 | 0本 |

今回の実証ではこのような結果が出ましたが、まだまだ発見できていない効果があるかもしれないので、今後も実証を続けていきたいと思います。