実証
2023.12.14
キク移植機新登場!
※本記事は2021年3月25日、4月28日に井関農機㈱のHP(夢総研だより)に掲載された内容を転載・再編集しています。
- 概要テーマ登録日2023.12.14キクについて
- レポート1最終更新日2023.12.14新登場!キク移植機 PVHR200-KL3WD
- レポート2最終更新日2023.12.14より良い栽培のために「納豆菌の力・セルトレイ育苗
- レポート3最終更新日2023.12.14秋田県で行われた実証試験でキク移植機大活躍!
- レポート4最終更新日2023.12.14半自動乗用移植機の実証内容及び結果
- レポート5最終更新日2023.12.14自動直進機能付きうね内部分施用機の実証内容及び結果
テーマ登録日2023.12.14
キクについて
キクは観賞用や供花などで多くの人に知られています。
生産も国内の花卉産出額の17%を占めおり、愛知、千葉、福岡など日本各地で栽培されています。キクは種子から育苗するのではなく、挿し穂というものを作り培土に挿し芽して育苗します。挿し穂は母株の側芽を切ったもので、自分で挿し穂を作る場合、前年から母株を育てて挿し穂を採取します。
キクは短日植物(日が短くなると開花する性質)です。電照栽培ではキクに光をあて、開花する日の短さに達していないと感じさせることで開花を抑制することができます。
各産地では開花時期をコントロールし需要に対応した栽培が行われており、沖縄県などの温暖な地域では電照栽培を行い開花を遅らせることで、冬春に開花、出荷できるように栽培が行われています。
キクは供花など年間を通して需要がありますが、特に年末やお盆の需要が増す時期に合わせて栽培がおこなわれています。出荷が集中するこの期間は自然条件で開花する時期ですが、出荷ピークに開花時期を揃える目的で電照栽培が行われています。
本州で主に栽培されるお盆、お彼岸時期の出荷のキクは3月~7月にかけて定植作業が行われます。初夏定植では暑さが体にこたえるので、定植作業は効率よく進めたいところです。また、手作業でかがんでの定植作業は疲労が蓄積します。
効率向上や労力低減という点は機械移植で解決できます。
最終更新日2023.12.14
新登場!キク移植機 PVHR200-KL3WD
ヰセキでは、キク栽培に対応した移植機 PVHR200-KL3WDを発売しております。
この機械は2条植付けが可能となっており、効率的な植付作業につながります。平高うねのマルチ、露地体系で植付けが可能で、この機能には3つのメリットがあります。
①選べる株間
株間は8~35㎝の間で21段階切り替えることができます。従来の移植機に無かった最短株間8㎝での植付が可能になりました。株間18㎝までは1㎝刻みで切り替えが可能なため、一般的に株間10㎝前後で植えるキクに柔軟に対応できます。
また、最大35㎝まで株間が広げられ、ハクサイ、キャベツでの植付もできるので1台で様々な作物の栽培ができます。
②座ったまま楽々植付け
乗用タイプなので植付け作業は座って楽々、苗を取って手元のカップに落とすだけ、後は自動で植え付けていきます。一人で作業できるので省力的です。
また従来機では「カップの移動スピードが速くて苗をカップに入れる作業に追いつけない」という声も上がっていましたが、この移植機ではカップの移動速度が遅めなので、苗を入れる作業にも余裕ができました。
③植付同時かん水が可能
植付けと同時に植付装置からかん水ができます。これにより苗の活着を促進できます。
かん水タンクは20Lタンク2個搭載でき、株間12㎝でかん水量が27ml/株の場合、約1a作業ができます。また、かん水が植付装置を洗い流すので土の付着が軽減され、移植精度を保ちます。
キク移植機 PVHR200-KL3WD
植付条数:2条
条間:30~70㎝
株間:8~35㎝
うね高さ:10~35㎝
トレッド:930~1250㎜(内タイヤ)、1270~1590㎜(外タイヤ)
能率:3600株/h
潅水量:0~27ml
適応苗:セル成形苗、その他土付苗
最終更新日2023.12.14
より良い栽培のために「納豆菌の力・セルトレイ育苗
ヰセキでは花卉、野菜栽培に役立つ資材も取り扱っています。それらの資材は栽培を効率的、均一的に進めるために役立ちます。
①セルトレイ育苗
苗の出来はその後の生育に大きく影響していきます。セルトレイ育苗により均一で移植機に適した苗を作ることができます。また適切な根巻きのある苗はセルトレイから取り出しやすく植付け装置にも投入しやすいので植付作業がスムーズです。
育苗の仕方など詳細はこちらから
セルトレイ育苗ではヰセキのセル培土を使うことが効果的です。
ヰセキセル培土は……
・軽く持ち運びが楽!
・根巻きが良くセルトレイから抜きやすいので植付作業が効率的!
・pH、水分は調整済みのためすぐに使用でき、生育も揃いやすい!
・均一な苗が作りやすく植付け後の生育ムラを軽減!
②納豆菌の力
これは納豆菌の仲間である枯草菌を用いた微生物資材です。発根促進効果により、作物の生育を健全にします。
また、移植機のかん水装置で散布することができるので省力的です。
使い方
・使用量は潅水する水量に合わせて、納豆菌の力原液が10aに500ml入るように水で薄め希釈倍率を調整します。
・散布時期は定植時に移植機のかん水装置で散布すると効率的です。
(実際の使用例)株間12㎝(栽植密度1万本/10a)の場合…
・かん水タンクの水20Lに納豆菌の力を40ml加え(500倍希釈)、潅水量27mlで移植機かん水します。
納豆菌の力は水で薄め育苗時のかん水、除草剤等と混用して散布することも可能です。
詳しくは、最寄りの販売店までお気軽にお問い合わせください。
最終更新日2023.12.14
秋田県で行われた実証試験でキク移植機大活躍!
当社グループは、スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(スマ農実証PJ)「先端技術の導入による計画的安定出荷に対応した露地小ギク大規模生産体系の実証」に参画しました。下記より結果報告をいたします。
【スマ農実証PJの概要】
○実証内容
大規模花き経営(露地小ギク)における需要期安定出荷と効率生産体系の確立を狙いとしたスマート農業実証に取り組み、省力効果および経営コストへの影響について明らかにする。
○目標
●電照導入による小ギクの需要期出荷率9割達成
●露地小ギクの作業労働時間3割削減
このプロジェクトにて、当社グループは、キク移植に対応させた半自動乗用野菜移植機とトラクタの自動操舵装置による作業省力化の検証を行いました。
実証は男鹿・潟上地区園芸メガ団地(秋田県男鹿市)にて行われました。
最終更新日2023.12.14
半自動乗用移植機の実証内容及び結果
半自動乗用野菜移植機をキク移植に対応できるよう改造し、作業性評価が行われました。
○半自動乗用野菜移植機の改造項目
キクは一般的に野菜より狭い株間(8~15㎝)で植えるため、従来の野菜移植機より株間を狭く(従来は18㎝以上だったところ、8~12㎝に変更)できるように改造。
○実証方法
作業時間を移植機と手植えで比較。
※10a当たりの作業時間を作業人数で割った値で比較。
●移植機の作業人数内訳
・2人で苗供給(運転者1名+作業者1名)
・補助作業者0.5人でセルトレイの片付け、潅水用の水補給
(補助作業者は常時作業を伴わない為、0.5人としてカウント)
※通常は1人作業ですが、実証農家より提案があり、苗供給者を増やした上記内訳で、作業を行いました。
○実証結果
●目標値:3割削減
●結果 :7割削減
手植えに比べ、大幅に省力化できることが実証されました。また、実証栽培をしていただいた農家の方からも
「メガ団地の大区画ほ場での移植にあたって、移植機がないと成り立たないほど重要!」
と高評価をいただきました。
今回ご紹介した実証を機に興味を待たれた方は、お近くのヰセキ販売店にお問い合わせください。
規模拡大や人手不足解にぜひ導入してみませんか!
最終更新日2023.12.14
自動直進機能付きうね内部分施用機の実証内容及び結果
○実証内容
トラクタの自動操舵装置による、うね立て作業省力化の効果実証
○実証方法
うね立て成形作業機による10a当たりの、うね立て作業時間の比較
※なお、慣行はうね間の精度を上げる為、作業走行の目印をつける作業を実施
(自動操舵装置は、直進操舵と旋回時のうね間調整が自動化されるため未実施)
○比較機
●実証機改(自動操舵)
トラクタ:RTS23QCY(当社RTSトラクタ)
自動操舵装置:X25((株)TOPCON)
作業機:うね立て成形同時マルチ(施肥機付き)●慣行
トラクタ:自動操舵装置無しの一般トラクタ
作業機:うね立て成形同時マルチ(施肥機付き)
○実証結果
●目標値:3割削減
●結果:4~5割削減
自動操舵装置を導入すると、目印をつける作業が不要となる為、準備作業が大幅に短縮されます。結果、畝立て作業全体では、4~5割の時間削減となりました。
また、栽培実証をしていただいた農家の方からも、「本機を用いての作業はすごく楽。精度は上手な人と同等だが、それにかかる集中力や体の負担はかなり軽減される。」「直進は機械でフォローされるため、経験の浅い人でも取り組みやすいと思う。」
と、高評価をいただきました。
「X25」はオプションの自動操舵装置ですが、自動直進機能内蔵の「RTSオペレスタトラクタ」もラインナップしております。