「納豆菌の力」収穫直後にまいてみた

今話題の「納豆菌の力」という微生物資材を水稲収穫後の圃場に散布してみました。翌年に効果が現れるのか??

納豆菌の力という微生物資材は、その名の通り納豆菌の仲間(枯草菌)を10種類程度ブレンドしたものです。

水稲や野菜において土壌環境を良くしてくれるため収量や品質をあげるといわれています。昨年、水稲で苗や移植同時に散布した結果、収量が増加する傾向が見られました(‘◇’)ゞ

納豆と言えばわらからできる→つまり納豆菌はわらに住み着き分解が可能ではないか??

ということで、下記の調査を行うことにしました。

  1. 秋の収穫後の圃場に散布し、わらの分解が進むのか
  2. 翌年の水稲収量に影響が出るのか

さて、何かしらの効果が出るのか?

試験スタートです!!

「納豆菌の力」圃場散布

夕日がきれいな今日この頃、収穫後の圃場に「納豆菌の力」を散布しました。

圃場の半分に4000倍希釈で200L/10aを乗用管理機で散布。

納豆菌の力の効果に期待です!!

試験圃場に乗用管理機で希釈した納豆菌の力を散布しているところ
納豆菌の力を散布しているブームスプレーヤーの拡大画像
納豆菌の力の散布作業中の乗用管理機

試験用わら設置in茨城

昨日に引き継づき、「納豆菌の力」のわら分解能力を確かれるため、納豆菌を散布したわらパック、散布してないをわらパックを用意。

納豆菌の力のわら分解能力試験で使用する稲わらのわらパック画像
わらパック

それを使って下記のような試験区を設けました。

<圃場上置き>

  • 未耕起
  • 未耕起+納豆菌の力
茨城の試験圃場で稲わらのパックを圃場に配置しているところ
圃場上置きの様子

<圃場埋め込み>

  • 耕耘
  • 耕耘+納豆菌の力
茨城の試験圃場で稲わらのパックを圃場に埋め込んでいるところ
圃場埋め込みの様子

さて、効果はいかに??

春が来るのが楽しみです(^^

試験用わら設置in愛媛

茨城だけでは、効果はわからない。。。

ということで愛媛大学にも協力してもらい、わらの設置を行ってもらいました。

試験区としては下記の通り!!

<圃場上置き>

  • 未耕起
  • 未耕起+納豆菌の力

果たして各地で違いが出るのか??

愛媛の試験圃場に配置した稲わらパック

試験用わら設置in秋田

茨城、愛媛のだけでは、効果はわからない。。。

ということで秋田の農家様にも協力してもらい、わらの設置を行いました。

試験区としては下記の通り!!

<圃場上置き>

  • 未耕起
  • 未耕起+納豆菌の力

この地域は、雪が積もり4月ごろまで雪で覆われてるそう。

どのように納豆菌が現れるのか、楽しみです!!

秋田の試験圃場に配置した稲わらパック
秋田の試験圃場に配置した稲わらパックの拡大画像

試験用わらが…in茨城

なんと、茨城圃場を確認してみると獣に遊ばれ無残なわら袋が。。。

せっかく苦労して作ったのに。。。

くよくよしても仕方ないので、対策を考えます!!

獣害により袋が破られた稲わらパック
獣害により被害を受けた茨城の試験圃場に配置した稲わらパック

獣対策で再チャレンジin茨城

獣に次はやられまい。

完全に獣の被害を防ぐように防風ネットを被せました。

やれるもんならやってみやがれ!!

と言いつつも、何もないことを願います。

獣害を避けるため、稲わらパックの上に防風ネットを被せているところ
防風ネットを被せた茨城の試験圃場

無事わら回収in愛媛

いよいよ春がやってまいりました。

愛媛では田植えの準備で、耕耘をする季節にということでわらを回収です。

効果はいかに??

乾燥させてから重量測定です。

耕耘前に稲わらを回収する直前の愛媛試験圃場の稲わらパック
愛媛の試験圃場で稲わらパックを回収した後の圃場の拡大画像

無事わら回収in茨城

愛媛に引き続き、茨城でもわらを回収しました。

獣害対策のかいもあって、わらパックは無事でした。

圃場上のものと、土の中に埋まっているもの両方回収。

こちらも乾燥させて重量測定です。

稲わらを回収する直前の茨城試験圃場の稲わらパック。獣害対策が機能し被害は受けなかった
茨城の試験圃場で稲わらパックを回収しているところ
茨城の試験圃場で稲わらパックを回収した後の圃場の拡大画像

無事わら回収in秋田

今度は、秋田でわらを回収!!

雪の下にずっといたせいかわらがかなり湿っていました。

場所によって違いがありそうな予感。

こちらも乾燥させて重量測定の予定です。

稲わらを回収する直前の秋田試験圃場の稲わらパック
秋田の試験圃場で稲わらパックを回収した後の圃場の拡大画像
秋田の試験圃場で回収した稲わらパックの拡大画像。雪に覆われていたため湿っている

①試験 わら分解結果発表!!

しっかりと日陰で乾燥されたわらたちの体重を測定しました。

結果は以下の通り。

地域設置方法わら重量減少率(%)
未処理納豆菌有意差
愛媛上置き13.015.2
秋田上置き34.535.1
茨城上置き21.019.4
土中33.334.8

茨城の未耕耘上置き以外は、納豆菌の力でわらの重量が軽くなりました。わらの重量が減ったということは、分解されたということか?納豆菌の力の効果はあった模様!!
(茨城の未耕耘上置きは獣にやられて期間が短かったから効果が出なかったか?)

茨城では、引き続きこの圃場で水稲栽培試験を行います。

何かしら効果が出るでしょうか?

いよいよ田植え

ついに田植えを行いました。

これからの結果が楽しみです(^^

<田植えの条件>

  • 品種:コシヒカリ
  • 植付条件:37株/坪
  • 施肥窒素:6kg N / 10a
茨城の試験圃場にISEKIの田植機でコシヒカリを移植しているところ

田植え後の様子

田植えが終わってから3週間(5月12日移植)、写真を撮ってみました。

秋耕耘なしの圃場では、未処理で藻が発生しているのに対して、納豆菌の力をまいた方で藻の発生が少ない気が!!

納豆菌の力の効果なのか?収量に効果が出るのか楽しみです。

田植え後3週間後の秋耕耘を行っていない試験圃場
秋耕耘なし(左:未処理 右:納豆菌)
田植え後3週間後の秋耕耘を行った試験圃場
秋耕耘あり(左:未処理 右:納豆菌)

中干開始

田植え後39日後の様子。

どちらの区も順調に育っています。

茎数が目標茎数に達したので中干しを開始しました。

田植え後39日後の試験圃場。目標茎数に達したので中干しを開始

出穂目前!!

移植61日後の様子。

最高分げつ期を終え、いよいよ出穂に向けて穂の赤ちゃんができてきました。

幼穂の大きさは4~5㎝といったところでしょうか?

あと2週間ほどで出穂が見られそうです!!

出穂期直前の試験圃場
圃場の様子
試験圃場の稲をカットして幼穂を確認
圃場で幼穂確認!!!
試験圃場の稲から取り出した幼穂の長さを定規で確認
幼穂(穂の赤ちゃん)

納豆菌を穂ばらみ期にヘリで散布してみた

秋田で納豆菌の試験を行っている圃場でヘリで納豆菌の力を散布してみました(‘ω’)ノ

ヘリを飛ばすと1haの圃場も10分足らずで作業完了!!はやい!!

これからもうひと踏ん張りイネに活力を与えてくれることに期待です。

秋田で納豆菌の力を試験している圃場に、ヤマハの産業用無人ヘリコプターで納豆菌の力を散布
ヘリ散布の様子
ラジコンヘリで納豆菌の力を散布した後の水稲の画像
散布時の水稲の様子
散布作業に使用したヤマハの産業用無人ヘリコプターFAZERの本体画像
使用したヘリ

いよいよ収穫!!

茨城で行った秋まき納豆菌の力の収量の結果の発表です!!

まずは収量ですが、無処理(507㎏/10a)に比べ、納豆菌の力を使った区では、1俵以上増収する結果に(582㎏/10a)!!

収量構成要素を見ると、穂数、1穂籾数が増加したことで、全籾重量が増えることが分かりました。

全籾数
(粒/㎡)
穂数
(本/㎡)
1穂籾数
(粒/穂)
千粒重
(g/1000粒)
籾収量
(kg/10a)
粗玄米収量
(kg/10a)
精玄米収量
(kg/10a)
無処理2889631392.421.2669541507
納豆菌の力3326833898.421.5762618582
※1圃場3ヶ所(5株ずつ)から坪刈りしたデータをもとに10a換算
無処理納豆菌の力
全籾数
(粒/㎡)
2889633268
穂数
(本/㎡)
313338
1穂籾数
(粒/穂)
92.498.4
千粒重
(g/1000粒)
21.221.5
籾収量
(kg/10a)
669762
粗玄米収量
(kg/10a)
541618
精玄米収量
(kg/10a)
507582

納豆菌の力を収穫後の秋にわらの上にまき、耕耘をしてすきこむことで下記のことが考えられます。

〇 わらを餌に微生物が増加
  ↓
〇 分解されたわらを餌に他の微生物を増加
  ↓
〇 植物が使用できる無機態窒素が増加
  ↓
〇 植物体が吸収し、収量増加

これからも引き続き実証を行っていきます(‘◇’)ゞ

皆さんも、納豆菌の力で土づくりを行ってみてはいかがでしょうか?

執筆者

井関農機(株)

井関農機(株)

農業機械の開発、製造、販売を行う農業機械総合専業メーカー。1926年創立以来、農業の機械化・近代化に貢献。魅力ある「農業=儲かる農業」の実現に向け「ハード(農業機械)」と「ソフト(営農技術)」の両面からお客さまの営農スタイルに合ったベストソリューションの提供に取り組んでいる。

執筆者

井関農機(株)

井関農機(株)

農業機械の開発、製造、販売を行う農業機械総合専業メーカー。1926年創立以来、農業の機械化・近代化に貢献。魅力ある「農業=儲かる農業」の実現に向け「ハード(農業機械)」と「ソフト(営農技術)」の両面からお客さまの営農スタイルに合ったベストソリューションの提供に取り組んでいる。